”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”も20本目となりました。
今回は、ヘッド ベロシティマルチ130(HEAD VELOCITY MLT)です。
一言で表すなら、ハリがあるのに柔らかい、割とスピン性能に優れたマルチです。
ヘッド ベロシティマルチ130(HEAD VELOCITY MLT)の特徴・スペック
ヘッドの一押しマルチである、ベロシティマルチの製品プロフィールです。
メーカー | ヘッド(HEAD) |
製品名 | ベロシティマルチ(VELOCITY MLT) |
ゲージ | 1.25mm、1.30mm |
カラー | ナチュラル、ブラック(1.25mm)、ピンク(1.25mm) |
素材 | ナイロン |
製造国 | MADE IN TAIWAN |
価格情報 |
定価12m¥2,600+税、200m¥39,000+税 市価最安値12m\1,960 送料無料、200m¥25,740送料無料(2021.3時点) |
うたい文句 |
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ヘッド ベロシティマルチ130(HEAD VELOCITY MLT)のインプレ
【セッティング】
PRINCE TOUR 100(16×18)
52ポンド、ゴーセン張り
約1.5時間打ってきました。★点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
外周がしっかりしている影響からか、モノに近いハリがありつつ、十分な柔らかさも有した打感。比較的スピン性能に優れたマルチストリング
です。そして、いろんな性能がバランスよく表現できていると感じます。
ラケットは最近新調したばかりのプリンス ツアー100で、その直前まで使っていたツアー100Pよりストリングパターンが粗いこともあり、1.30mmのベロシティマルチがとてもフィットしてくれました。
そして、この構造、どこかで見た気が…。コアはマルチの束で、側糸を巻きつけて外側の強度を上げる構造が、エアロンスーパー850とすごく似ています。
基準ストリングであるXR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
張り上げ時に、モノストリングのようなハリ感を感じました。
ただ、その割に、実際の打感はそこまで硬くはなく、心地よい普通のマルチでした。
反発感
マルチとしては平均的で、飛ばし過ぎず、ちょうど良い感触です。
ホールド感
ハリがある割に、柔らかさは損なっていません。
打ちごたえが乏しいソフト過ぎるマルチは少々苦手ですが、過剰ではないホールド感であり、私にとってはかなりフィットしました。
スピン性能
構造的にはエアロンスーパー850の「ダブルワインディング加工」に似ていますが、素材そのものや、撚りの程度が異なると考えられ、性能面は違いを感じます。
ベロシティマルチは、初期の表面の滑りの良さが特徴的です。その後、使用時間に比例して少しずつキシミが発生し、徐々に糸が滑りにくくはなっていきます。
結論として、平均的なマルチと比べると、スピン性能の良さはかなり表現できています。
ただしこれはストリングが新鮮なうちの特徴ですので、過剰なスピン性能を期待すべきでないことは付け加えたいと思います。
テンション維持性能
52ポンドで張り上げ、面圧は54.1ポンドですので、面圧の出方は普通です。
張った翌日に1.5時間使用後、初期テンション低下は2.6ポンドは優秀です。初期テンション維持は、マルチとしても高いレベルでした。
今回は22日後に張り替えてしまいました。
- 張り上げ直後 54.1ポンド
- 張り上げ当日 約1.5時間使用後 51.5ポンド ▲2.6ポンド、▲4.8%
- 張り上げ22日後 約6時間使用後 47.5ポンド ▲6.6ポンド、▲12.2%
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング1.5時間での、キシミとノッチは、マルチとしては少ないです。
表面にボールの毛羽がついていますが、ストリング自体はささくれ立っていません。切断耐久性も期待できそうな予感。
今回は、かなり劣化が進んだ段階で、試合のために張り替えたため、切断耐久性は最後まで追えませんでした。ただし22日経過後でも、もう少しもってくれそうな雰囲気でしたので、1.3mmの太さも手伝って、比較的耐久性に優れるマルチストリングでした。
コスト
2021年2月時点で、定価はXR3と同じ¥2,600。ただし流通価格は単張りで2千円弱と、割安感は少な目です。
楽天市場での最安値は、\1,960(送料込)、ロール最安値が200m¥25,740(送料込)と、やや高止まっています。
ホームストリンガー視点での感想
適度なハリと柔軟性で、モノフィラメントのように非常に張りやすいマルチでした。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 爽快さは上 |
ホールド感 | VELOCITY | 芯がない分ややソフト |
スピン性能 | 引分け | |
テンション維持 | 引分け | |
切断耐久性 | VELOCITY | おそらく |
コスト | XR3 | 流通価格がとにかく安い |
モノマルチのXR3とは打ち心地は違いますが、性能面ではかなり良い線をいっています。
コスト以外は良い勝負が出来ると感じました。
XR3よりも、ホールド感が欲しい、耐久性が欲しい場合は、良い選択肢になりそうです。
インプレまとめ
ヘッド ベロシティマルチ130(HEAD VELOCITY MLT)は、モノに近いハリがありつつ、十分な柔らかさも有しています。初期のスピン性能が売りで、総合力が高めのマルチストリングでした。
さいごに推奨プレイヤーをまとめます。
- マルチ初心者の最初の選択肢として
- モノからの置き換え
- テンション維持を求める
- ホールド感とスピン性能を両立したい
- 性能優先で、コストに目をつぶって頻繁に張り替えられる