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【ストリング】前編:なぜテンションロスが生じるのか?その要因を明らかにする

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目次

ストリングの話題が続きます。

ストリングをよく張り替える人は誰でも経験したことがあると思いますが、同じストリング、同じテンションでも店や張り手によって張り上がりに大きな差が出ることがあります。

誰もがストリングマシンで指定したテンション通りに、ロスが一切なく張れればこのようなことは起きませんが、実際にはさまざまな要因によってかなりテンションにはバラつきが生じます。

今回は記事を2つに分けて、テンションのバラつきに影響を与える要因を明らかにしていきたいと思います。第一弾はハード面についてです。

ストリングマシンの要因

当然ながらストリングマシンの性能は、張り上がりに非常に大きな影響を及ぼします。そしてテンションロスなく張り上げることを考慮するとマシンの選択肢は限られてきます。

電動式(コンピューター制御)

ほとんどのショップでは現在コンピューター制御の電動式が主流となっています。

コンピューターによって制御され電動の力でストリングを引き、指定テンションに到達してもロックせずに常に指定テンションを保つよう引き続けます。そのため張っている間のストリングの伸びや、クランプを外した後にも微調整してくれるため、テンションロスを最小限に抑えてくれることが最大のメリットといえます。

価格はピンキリで、仕様によって10万円台から100万円超まであります。

電動機械式

コンピューター制御ではない単なる電動式は『電気の力で自動で引く』だけで、指定テンションでロックする=常に指定テンションで引き続けることはできないため、上記コンピューター制御と比較するとテンションロスを生じる可能性が高くなります。最近ではあまり出回っていない機種かもしれません。

価格はコンピューター制御と比較すると安く、10万円台~20万円台程度。

バネ式

比較的安価で、ほぼホームストリンガーのみが使用しており、現在使用しているプロショップはほとんどないでしょう。

手動でハンドルを回し、指定テンションでロックする=常に指定テンションで引き続けることはできないためテンションロスにつながりやすい機種と言えます。

また操作はあくまでも手動で、張り手の手技(ハンドルを回すスピードや力加減)によってもバラつきが生じやすいです。

分銅式

最も価格が安く、省スペースでもあるため、ホームストリンガーにとっては導入のハードルは低い機種となります。

手動で操作しますが、動力は分銅の重さです。分銅の重さでストリングを引き、ロックしないため指定したテンションでストリングを引き続けることができます。そのため、張り手が慣れてさえいれば正確なテンションが発揮できる機種です。

分銅のレバーを動かすスピードやタイミングなどについては張り手の慣れが必要で、ここがテンションロスにつながる可能性の部分です。

私が学生だった頃は、店でもバネ式のストリングマシンが主流だったため、現在と比較して指定テンションの割には明らかに弱く張り上がっていました。すなわち張り上げ時のテンションロスが大きかった時代とも言えます。

私の感覚ですが、当時のバネ式の60ポンドは、現在のコンピュータ制御の53ポンド前後に相当すると感じます。

現在ショップのほとんどがコンピューター制御の電動式ではありますが、実際にどのようなマシンを使っているのかは把握しておきたいところです。

マシンにかかわるその他仕様の違い

クランプ

張り上げ時、テンションをかけて引いた直後に挟んで留めるパーツのことです。しっかりとストリングをつかみ、滑りが生じにくいものかどうかで当然テンションロスにも影響があります。

クランプベース

クランプの土台になる部分で、ストリングを挟んでいるクランプが動かないようクランプベースもロックさせます。その際にクランプベースがガタついていたり、固定が弱くズレが大きいとテンションロスにつながります。

プレストレッチ機能

特にポリエステルストリングなどは、張り上げている途中にも伸びが生じます。伸びやすいストリングであれば、張り上げ途中のテンションロスを避けるためにプレストレッチを行う方が、張り上げ後のテンションロスを軽減できます。

ラケットの要因

ラケットが変わっても正しく張れることは理想ですが、実際にテンションロスにつながりやすいラケットの仕様もあります。

グロメットの仕様

グロメットは、ストリングを通す穴であり、ストリングを支える部分です。

ですのでグロメットが摩擦の大きい素材や造りだった場合、ストリングを引く際にグロメットにストリングが引っかかってテンションロスをしてしまいます。

逆に滑りの良いグロメットであれば、テンションロスをしにくくなります。

ストリングパターン

一般的にストリング本数の多いラケットの方が、横糸を張る際に縦糸との摩擦を生じやすく、テンションロス、テンションムラができやすいと考えられます。

ただし、上記したラケットの仕様については張り上げ時の工夫によってロスを軽減することができると考えられます。

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続く後編では、張り上げ時の手技の工夫によってどのような対処ができるか、テンションロスの少ない張り手がどのような工夫をしているか、という部分にも踏み込んで解説したいと思います。

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