”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”15本目は、
定評のマルチストリング『シグナムプロ マイクロナイト1.27』です。
一言で表すと、コシがあってパワーロスの少ない爽快なマルチストリングです。
シグナムプロ マイクロナイトの特徴・スペック
ドイツ本国のシグナムプロ公式サイトからの情報です。
PROPERTIES
Power | ■■■■■■■■■■ |
Control | ■■■■■■■■□□ |
Comfort | ■■■■■■■■■■ |
Tension & Stability | ■■■■■■■□□□ |
Spin | ■■■■■■■□□□ |
Durability | ■■■■■□□□□□ |
本国のサイトは非常にシンプルで、製品特性は上記の点数表で表記されています。
マイクロナイトは、ドイツ「テニスマガジン」で「心地よい打球感重視のストリングテスト」における総合評価で、最も優れたストリングとして認定されていることで有名です。
メーカーの宣伝文句とプレーヤーの主観はまた異なりますので、先入観は極力捨ててレビューしますね。
まずは製品プロフィールです。
メーカー | シグナムプロ(SIGNUM PRO)※ドイツメーカー |
---|---|
製品名 | マイクロナイト(MICRONITE) |
ゲージ | 1.27mm、1.32mm |
カラー | ナチュラル |
素材 | ナイロン、ポリウレタン |
構造・特徴 | 構造的には非常にベーシックなマルチフィラメント。本国のサイトでは、ポリウレタンをマルチフィラメントに含侵させていると書かれてあり、通常のポリウレタンコーティングマルチとは異なる打感が想定される(ポリウレタン含侵マルチの代表格はテクニファイバー) |
製造国 | MADE IN GERMANY |
価格情報 | 12m:定価¥3,000+税、流通価格¥1,500強(2020.12現在) 200m:定価34,000+税、流通価格15,000強(2020.12現在) |
うたい文句 |
|
シグナムプロ マイクロナイト1.27のインプレ
【セッティング】PRINCE TOUR 100P(18×20) 50ポンド、1本張り
約2時間打ってきました。★点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
非常にハリを感じるしっかり系マルチ
スピン性能以外は高評価
打感は爽快
こんなストリングです。
基準ストリングであるXR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
普段からのマルチユーザーであれば、マイクロナイトは気持ちよく打てるストリングだと思います。
反発感
反発感は良いです。マルチの割に、鈍さはなく、硬質でコシがあるため爽快に弾く感触でした。
後述しますが、ストリングの動きが悪い分パワーロスが少なく、高反発に感じるのかも知れません。
マイクロナイトはすでにロングセラーですが、最近このようなコシのあるマルチが増えてきた気がします。ダンロップのアイコニックオールあたりは対抗品になりそうです。
ホールド感
ポリウレタン使用の割に粘りは少ないですが、マルチ特有の柔軟性は残っています。
少し硬めのマルチが好きな方にはマッチしそうです。マルチの割に球離れは早めかもしれません。
スピン性能
ストリングの滑りが悪いです。当然スナップバックは効かず、スピン性能は高いとは言えません。
滑りの悪いマルチでも、それなりのスピンの掛け方がありますが、サーブ、ストロークともに、スピン性能の低さのせいで少々飛びすぎる感覚がありました。滑りの良いストリングからの切替では、少し苦労しそうです。
裏を返すと、スピンが浅くなりがちな人にはかなりマッチしそうです。
テンション維持性能
50ポンドで張り上げ、面圧は52.3ポンドと普通程度の面圧が出ました。
2時間使用後の初期テンション低下は2.1ポンドで、テンション維持性能の高さが期待できます。
- 張り上げ翌日 約2時間使用後 50.2ポンド、▲2.1ポンド、▲4% テンション低下は少なめ 維持率に期待大!
- 張り上げ9日後 約5時間使用後 46.4ポンド ▲5.9ポンド ▲11.3% 徐々に落ちてきました。
- 張り上げ20日後 約8時間使用後 47.9ポンド テンション下げ止まり状態
- 張り上げ37日後 約10時間使用後 47.9ポンド テンション維持
- 張り上げ42日後 約11時間使用後 47.8ポンド完全に下げ止まり→切断
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング開始後すぐにキシミが発生して、ストリングは動かなくなります。
開始2時間では表面の繊維毛羽立ちはなく、ノッチも深くありません。
メーカーの自己評価では切断耐久性があまり高くないのですが、実際はどうなのか。今後の経過を追っていきます。
切断後の修正評価
使用5時間を超えると毛羽立ちが加速します。同時にテンションは下げ止まりました。10時間を超えたのは意外でしたが、最終的に42日間11時間使用で切れました。
使用継続する中で、当初の評価は大きく変わることはありませんでした。
コスト
2020年12月時点で、定価はXR3より400円高ですが、流通価格は非常に安いです。12mカット品やロール購入であれば、1本あたりかなりお得に張り上げることが可能です。
非常にコストに優れるストリングと言えるでしょう。
ホームストリンガー視点での感想
見た目はThe透明系マルチで、柔軟性があります。表面はやや油っけを感じます。
透明系なので、クランプによる白潰れはありますが、そこまでデリケートではなさそう。
テンションをかけない状態ではかなり柔らか目で、グロメットの狭い箇所では入れ込みにくかったです。
ホームストリンガーにとっては、ほどほどに張りやすい普通のマルチでした。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 心地良い爽快な弾きはXR3に分があり |
ホールド感 | XR3 | 柔軟性でXR3 |
スピン性能 | XR3 | 最近のXR3は表面の潤滑性が改善している |
テンション維持 | 引分け | 5時間で下げ止まり |
切断耐久性 | ナイト | 毛羽立ってから意外と粘る |
コスト | ナイト | 流通価格はかなり安い |
基本性能はXR3に分があります。
打ちごたえがしっかりしつつ爽快という部分では、マイクロナイトも良いストリングではあります。
XR3とは、若干系統が違うストリングです。
インプレまとめ
シグナムプロ マイクロナイト1.27mmは、ハリを感じるしっかり系マルチで、爽快な打感です。キシミが強く、スピン性能は控えめですが、パワーロスが少ない。全体的に性能バランスは良いでしょう。
個人的にはかなり好きな感覚でした。
最近増えてきた、コシのあるマルチが好きな方には、ぜひおススメしたいストリングです。
推奨プレイヤーをまとめます。
- 打ちごたえがあるマルチが好み
- スナップバックは気にしない(ヘビースピナー以外)
- 球が浅くなりがちな人に
- フラット系、フラットドライブ系、スライス系
- ボレーヤー、タッチ系