”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”8本目です。
今回は8月5日に発売されたばかり、『テクニファイバー トライアックス1.28』です。
打ちごたえがあって、スピン性能に優れるストリングでした!
テクニファイバー トライアックス1.28のスペック
XR3と同じテクニファイバーのトライアックスです。
今回はモニターストリングに当選し、試すことができました。以前にインプレしたテクニファイバー デュラミックス1.25と組成がほぼ一緒で、デュラミックスとの比較も楽しみです。
有名テニスショップのサイトを除くと、配合されているのは『COポリエステル』という新しいコンパウンドとのことで、ポリエステルに工夫を加えてきているようです。
メーカー | テクニファイバー(tecnifibre) |
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製品名 | トライアックス(TRIAX) |
ゲージ | 1.28mm、1.33mm |
カラー | ナチュラル |
素材 | ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン |
構造・特徴 | 同ブランドが得意とするポリエステル・ナイロン・ポリウレタン3つの素材によるコンポジットマルチフィラメント |
製造国 | フランス |
定価 | 3,300円+税(12m)、46,200円+税(200mロール) |
メーカーうたい文句 |
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テクニファイバー トライアックス1.28のインプレ
PRINCE TOUR 100P(18×20)52ポンド、1本張りで張り上げました。
さて、延べ2時間打った後の☆点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
打った感触はやはりデュラミックスに似ていますが、もう少しはっきりした打感に感じます。
基準ストリングであるXR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
続いて各性能について、XR3との勝敗も示していきます。
反発感
反発の感触=弾きは悪くありません。XR3よりは鈍く、デュラミックスよりははっきりした打感です。
マルチストリングとしては中程度の飛び感といえます。平均的なマルチの飛び、平均的なマルチの反発感です。
ホールド性能
少しだけ固めのマルチです。デュラミックスと同じ表現になりますが、グーっとくわえ込むようなホールド性ではなく、鈍く包み込む感触です。ただ、微妙な差ですが、デュラミックスよりはもう少し軽い感触(球離れが早い)かな。
スピン性能
表面コーティングの滑りが良く、マルチの中ではとてもストリングの戻りが良い、すなわちスナップバックが大きいストリングです。
マルチのイメージで打つと、想像以上にスピン量が増え、ボールが浅くなりがちに。私にとってはスピンコントロールが難しいストリングと感じてしまいました。少々気持ち悪いくらい…。
もちろんここら辺は慣れによって改善しそうですし、もしポリエステルからマルチに替える人がいるとすれば、このストリングは良い選択肢になると思います。
マルチの中ではスピン性能はとても良いです。
テンション維持性能
52ポンドで張り上げた割にテンションが高く出ませんでした。これは同じ『ポリ・ナイロン・ポリウレタンのコンポジット』であるデュラミックス、NXTコントロールとそっくりです。
ポリが入っている割にテンション低下が低い結果でした。
- 初回2時間使用後のテンション低下は4ポンド、▲7.8%
- 22日経過 約8時間使用後 45.9ポンド ▲5.4ポンド、▲10.5%
- 27日経過 約10時間使用後 45.9ポンド テンション下げ止まり状態
- 45日経過 約14時間使用後にリターン時に切断、切れる直前は45.3ポンド
初期テンション低下はほどほど、下げ止まりも割と早いことを考えると、テンション維持性能は優れていると言えます。
耐久性(切断耐久性)
耐久性が良いマルチというのが売りのようですが、ヒッティング開始2時間後に、テクニファイバーのマルチに特有の毛羽立ちがほんの少しだけ見られました。ただ、コーティングの滑りはまだ保っていて、ノッチも大きくありません。切断耐久性はXR3に勝てるかな?
2020年9月19日追記
45日経過 約14時間使用後に切れました。ノッチは徐々にできるものの、最後まで毛羽立ちが少なめで、マルチとしては切断耐久性が良い結果でした!
切断後の修正評価
テンション維持と切断耐久性の評価を上げ、総合点もアップです。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 |
コスト
2020年8月時点で、定価はXR3より700円も高く、新製品であるため流通価格もまだ高いです。これだけの価格差は厳しいと言わざるを得ません。
このコスト差分のメリットがあれば良いのですが、全体的な性能を見ると…コスパとしては、なかなか厳しいところです。
ホームストリンガー視点での感想
1.28mmという細さ、マルチにしては適度にコシがあり張りやすいです。
コーティングはやや油っけのある滑りの良さで、張り上げ後に手を洗いたくなります。クランプ箇所の白潰れは気になりません。ストリンガーにとっては扱いやすい1本です。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 心地よいシャープさという点でXR3の勝利 |
ホールド感 | XR3 | くわえ込む感触はXR3に分があり |
スピン性能 | TRIAX | マルチの中ではスピン性能に長ける |
テンション維持 | 引分け | TRIAXは下げ止まりが早い |
切断耐久性 | TRIAX | マルチで使用10時間越えは十分な耐久性と言える |
コスト | XR3 | TRIAX定価3,300円は高級ストリングの価格… |
トライアックス1.28は耐久性は良く、スピン性能は大きく優れますが、やはり打感の心地良さはXR3に軍配が上がります。
価格面も気になるため、XR3の代替とするのは難しいでしょう。
インプレまとめ
系統としてはデュラミックスに似ています。テンション維持、耐久性、スピン性能でトライアックスは優れているものの、価格面が大きく立ちはだかります。
トライアックス1.28はマルチにしては打ちごたえがある、平均的な反発とホールド感、スピン性能に優れるストリングです。
最後に推奨プレイヤーをまとめたいと思います。
- マルチ愛好者でスピン性能を上げたい人
- マルチ愛好者だが、もう少し打ちごたえ(硬さ)が欲しい人
- マルチ愛好者で少しでも耐久性を上げたい人
- マルチ愛好者であまりストリングを切らない人(テンション維持性能)
- ポリエステルからマルチへ切り替える際のファーストステップとして
- プレースタイルはオールラウンドに対応可能