約1年半ぶりのマルチストリングのインプレになります。
今回は、ウイルソン社のモニターとして入手した『リペル16』です。
リペル16は、コシのあるしっかり系マルチで反発感は控えめ。ノッチのできにくさなど、耐久性が期待できそうなマルチストリングでした。

ウイルソン リペル(WILSON REPEL )の特徴・スペック
製品プロフィールです。
メーカー | ウイルソン(WILSON) |
製品名 | リペル(REPEL) |
ゲージ | 17G:1.25mm、16G:1.30mm |
カラー | ナチュラル |
素材/構造 | ナイロン、ポリウレタン |
製造国 | MADE IN VIETNAM |
価格情報 | 12.2m:3,080円(税込) |
特徴 | GORE社との共同研究の上、開発された新しいストリング。湿度や高温、紫外線等の様々な影響に対し高い耐久性を発揮。テンション維持力にも優れ、「ストリングが切れやすい」というナイロンマルチストリングのデメリットを克服。プレー頻度が高いナイロンマルチファンにピッタリのストリング。 |

芯材にePTFE繊維なる素材を使用し、マルチストリングの欠点である耐久性を改良した糸のようです。この素材の説明がGORE社のサイト内に掲載されていますので以下参照ください。
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)は、縫合糸や人工血管といった移植用医療デバイスなど、高い社会的価値を持つ製品の要となる革新的な素材です。そのほか、防護用アパレル、国際宇宙ステーションのデータ伝送ケーブル、自動車用燃料電池、ギター弦、携帯電話用ベントなど、多種多様な製品に用いられています。
ePTFEというと、防水性・透湿性をもつアパレル製品の先駆けであり、非常に高い認知度を誇るGORE-TEXブランドに使用されていることが広く知られています。しかしそれにとどまらず、ePTFEは世界中で日々製造されている消費者向け、産業用途、医療用途の数多くの製品に欠かせない素材となっています。
リペルは高耐久マルチであることが売りのようですね。

ウイルソン リペル 16(WILSON REPEL ) のインプレ
【セッティング】
PRO STAFF X V14(16×19)
52ポンド、プレストレッチなし、1本張り(ゴーセン張り)

7日間で計5時間打ちました。★点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 |
打感の硬さ |
私がマルチの基準としているストリング、XR-3の評価は以下の通りです。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 |
打感の硬さ |
打感
リペルは「コシの強さ」が印象的です。
一般的なマルチストリングの特性としては、モッチリ感や包み込む感触が特徴的だと思いますが、リペルは打ち心地がしっかり目で、「鈍い打感のマルチ」という印象を受けました。
反発感・ホールド感・スピン性能など
反発感は控えめ、爽快感は少な目の印象です。特に今回の1.30㎜のゲージでは、より「鈍さ」が際立ったように感じます。
飛距離も抑え目で、思うほど飛んでいかない結果となりましたが、良く言えば暴発することがないとも言えます。マルチは好きだが飛びすぎてほしくない人には好印象の糸かもしれません。
スピン性能は一般的なナイロンマルチのレベルでした。
しかし、今回久しぶりにナイロンマルチストリングを打つ中で気づいたことがありました。
私は普段ポリエステルストリングを使用していますが、それをナイロンストリングに変更することで、自然にスイング軌道を「レベルスイング」寄りに補正していたのです。
ポリエステルを使っている時は、そのスピン特化性能と打ち出し角度の定価によって若干アッパー傾向になっているスイングが、ナイロンストリングでは打ち出し角度がポリエステルよりも上がるために自然とレベルスイング傾向に変化し、この自己補正がミスヒット減少と好調なプレーに繋がるという、副効用が得られました。
人はストリングごとの特性によって、自然とスイングを変化させてコントロールを補正していく、ということがリペルの試打を行う中で再確認することができました。
そして、この自然なスイング補正が、その人にマッチしているか、ストレスのないプレーにつがなるか否かという視点も、ストリング評価の上ではとても重要だと思うのです。私には、リペルは比較的自分にマッチするストリングだったと思います(ただし打感や打球音はあまり好みではなかったですが)。
テンション維持性能・耐久性

52ポンドで張り上げ、面圧は60.1ポンドとかなり高めに張り上がりました。
翌日1.5時間使用後に▲4.7ポンド、7日後までに計5時間使用し▲7.7ポンドと、夏季のナイロンマルチとしてはほどほどのテンション維持性能でしょうか。
張上げ後 経過時間 | 延べ使用時間 | ポンド数 | テンション 変化 | テンション 変化率 |
---|---|---|---|---|
直後 | 0 | 60.1 | – | – |
翌日 | 1.5時間 | 55.4 | -4.7 | -7.8% |
3日 | 3.5時間 | 52.5 | -7.6 | -12.6% |
7日 | 5時間 | 52.4 | -7.7 | -12.8% |

しかしながら、糸自体の耐久性はかなり高いようで、7日間5時間の使用(クレーコート、オムニコートでのプレー含む)ではノッチも浅く、まだまだ持ってくれそうな消耗度です。
マルチの宿命、表面コーティングのキシミは使用開始早々発生してしまいましたが。
ホームストリンガー視点での感想
柔軟性とコシがあり、とても張りやすい糸でした。新品時の表面の滑沢性もとても良かったです。
インプレまとめ
ウイルソン リペル1.30㎜は、マルチとしては比較的しっかりした打感を備えています。
反発感や飛距離は控えめで、自然とレベルスイングへの補正によるプレー改善の可能性に気づけたことは予想外の収穫でした。
尖ったところや過度な味付けのないナイロンマルチストリングのため、初心者の最初の1本としても検討可能。またマルチは好きだが少しでも耐久性を上げたいという人にとっても検討する価値がありそうです。
- ナイロンストリング最初の1本として
- マルチが好きで少しでも持たせたい(耐久性を求める)
- ポリエステル→ナイロンストリングに戻したい人

