”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”24本目は、
『テクニファイバー NRG2 1.24(TECNIFIBRE NRG2)』です。
一言で表すと、X-ONE BIPHASEとXR3よりソフトながら、柔軟性と反発性を両立した爽快マルチストリングです。
テクニファイバー NRG2 1.24(TECNIFIBRE NRG2)の特徴・スペック
まずはNRG2の製品プロフィールです。
最初に、製品プロフィールです。
メーカー | テクニファイバー(Tecnifibre) |
製品名 | NRG2 |
ゲージ | 1.24mm、1.32mm |
カラー | ナチュラル |
素材/構造 | ナイロン(ELASTYL TM) 、ポリウレタン/特殊ファイバー、マルチフィラメント、バイフェイズ処理 |
製造国 | MADE IN FRANCE |
価格情報 |
定価12m3,300円税込、200m46,200円税込 市価最安値:12mカット品1,610円 +送料250円 (2021.4.25時点)、200m21,357円送料込 |
うたい文句 |
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テクニファイバー NRG2 1.24のインプレ
【セッティング】
PRINCE TOUR 100(16×18)
52ポンド、プレストレッチなし、1本張り(ゴーセン張り)
2日間で5時間打ってきました。★点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
テクニファイバーの持ち味である、ポリウレタンを使った高柔軟・高反発のフィーリングに優れたマルチストリングです。私は、このテクニファイバーのポリウレタンマルチがものすごく好きなので、NRG2にも非常に期待していました。
ややしっかり目のX-ONE BIPHASE、芯糸を擁するモノマルチのXR3と比較すると、NRG2はもう少し柔軟性があります。
ただしボヤけたソフト感ではなく、バイフェイズ加工(プレストレッチ加工)の影響もあって、標準的なマルチフィラメントと比較するとハリ感もあって爽快で心地よいのです。
私の基準ストリング、XR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
テクニファイバーの中では、X-ONEよりは格下でXR3よりは高級な位置づけです。
反発感・ホールド感
反発感は良好ですが、X-ONE・XR3と比較すると、ホールド感が高い分もう少し抑え目です。
ただし、ホールド感は過剰ではなく、ボヤけた感触ではありません。
反発とホールド、その相反する性能をバランスよく体現できるのが、テクニファイバーのマルチストリングの強みです。改めて感じ入りました。テクニファイバーのポリウレタンマルチ、大好きです。
さて、メーカーのうたい文句「ハードヒッター好みの打球感」とはどういう意味でしょうか?私の解釈では、「テクニファイバーマルチ」の中では、反発とホールドの両立を狙ったモデルのため、「飛ばしすぎない感触なので、遠慮なく打っていける。思い切って打っても、手腕への負担も少ない」
こんな風にとらえました。
スピン性能
ストリングの滑り戻りがよいのは、テクニファイバーマルチの特徴です。マルチの割に、最初はスナップバックも感じられ、スピン性能もほどほど。
ただしそれは、あくまでも打ち始めしばらくの話。インドア1.5時間では、まだまだしっかりはしてくれていますが、アウトドアで使い始めると徐々に表面コーティングの劣化によるキシミで、滑りは悪くなってきます。
通常のマルチよりはスピンは良い、ただし、その維持性能が高いわけではありません。
テンション維持性能
52ポンドで張り上げ、面圧は54でした。プレストレッチ処理(バイフェイズ処理)の影響か、思ったよりも面圧は高くありませんでした。
1.5時間使用後の初期テンション低下は2ポンドで、翌日さらに3.5時間、計5時間使いましたが、テンション維持性能はとても高いです。
- 張り上げ直後 指定テンション 52ポンド、張り上がり 54ポンド
- 張り上げ当日 1.5時間使用後 52ポンド、▲2ポンド、▲3.7% テンション低下は少なく今後の維持率も期待度大
- 張り上げ翌日 5時間使用後 50.9ポンド、▲4.1ポンド、▲7.6% テンション維持は良いが、毛羽立ちがすごく、間もなく切れそうな状態に…
- 張り上げ3日後 5.1時間使用時点であえなく切断。テンション維持は測りきる以前に先に切れてしまいました。
耐久性(切断耐久性)
インドアでのヒッティング1.5時間程度ではまだキシミは大きくなく、ノッチも少ないのですが、さらに翌日のアウトドア3.5時間の使用で、一気に劣化が進みました。
テクニファイバーのマルチの劣化の仕方(徐々に毛羽立ちが生じ、糸が細くなっていくような劣化)は、NRG2にも当てはまり、5時間でほぼ切れそうな状態までいってしまいました。
その後、3回目の使用で、5.1時間使用の時点で、あえなく切断。テクニファイバーのポリウレタン配合マルチは、やはり切断耐久性の弱さがデメリットです。
コスト
2021年4月25日時点で、定価はXR3より400円高の上位ストリングです。
流通価格も、12mカット品1860円(税・送料込)と、安くはないストリングです。
ホームストリンガー視点での感想
表面に適度なハリがあり、柔軟性も高いため、
ホームストリンガーにとっては、ものすごく張りやすいストリングです。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 弾きの”強さ”でXR3に軍配 |
ホールド感 | NRG2 | くわえ込みは優位 |
スピン性能 | 引き分け | 大差なし |
テンション維持 | 引き分け | 今後変わる可能性 |
切断耐久性 | 引き分け | 今後変わる可能性 |
コスト | XR3 | 流通価格は断然安い |
2本並べると、反発のXR3、ホールドのNRG2となるでしょう。
XR3から、より柔軟性のある、ホールド感のあるストリングに変えたい場合は、NRG2はよい選択肢になるのではないでしょうか。
インプレまとめ
テクニファイバー NRG2(1.24)は、反発感と柔軟性を高バランスに両立させた、爽快なマルチです。
飛ばしすぎず、手腕への負担が少ないので、しっかり打っていくこともできます。
しっかり系マルチとソフト系マルチの中間に位置づけられる、「ちょうどいいマルチ」と言えそうです。
さいごに推奨プレイヤーをまとめます。
- ソフトさと反発性能を両立したい
- あまりストリングを切らない
- フラットドライブ系
- タッチ系
- 手腕にケガの不安を抱えている