”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”16本目です。
あのジョコビッチがかつて愛用した、マルチ最高峰のひとつ『テクニファイバー エックスワンバイフェイズ(X-ONE BIPHASE)』です。
一言で表すと、ハリがあって高反発なナチュラルテイストのマルチストリングです。
エックスワンバイフェイズ(X-ONE BIPHASE)1.24の特徴・スペック
テクニファイバーの最高級マルチストリングである、エックスワンバイフェイズの製品プロフィールです。
メーカー | テクニファイバー(Tecnifibre) |
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製品名 | エックスワンバイフェイズ(X-ONE BIPHASE) |
ゲージ | 1.18mm、1.24mm、1.30mm、1.34mm |
カラー | ナチュラル、赤(1.24,1.30単張りのみ)、黒(1.24,1.30単張りのみ) |
素材 | ナイロン、ポリウレタン、詳細不明の特殊ファイバー |
構造・特徴 | テクニファイバーのマルチによく見られる、複数のマルチ束をさらにより合わせる構造。マルチ束にポリウレタンを含侵させ、テクニファイバーに特有の心地よい打感を実現。さらにバイフェイズ処理(プレストレッチ加工のこと)によって、テンション維持性能の高さも期待される。 |
製造国 | MADE IN FRANCE |
価格情報 | 12m:定価¥3,900+税、流通価格2,000円弱(2020.12現在) 200m(1.24,1.30のみ):定価54,600+税、流通価格25,000円前後から(2020.12現在) |
うたい文句 |
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エックスワンバイフェイズ(X-ONE BIPHASE)1.24のインプレ
【セッティング】
PRINCE TOUR 100P(18×20)
51ポンド、1本張り
約2時間打ってきました。★点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
打感の硬さ | [jinstar3.0 color=”#ffc32c” size=”20px”] |
ハリ感のある超高反発、ナチュラルテイストのマルチ
こんなストリングです。
基準ストリングであるXR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
高級なだけあって、XR3を凌駕する心地よさと性能です。
反発感
反発感は非常に良いです。マルチでは最高レベルと言って間違いありません。
XR3を超える爽快な打感でした。
私見ですが、こういう高反発マルチストリングは、少し高めのテンションで張り上げた方がその心地良さをより発揮できる気がします。今回はいつも通り、51ポンドで張り上げましたが、このストリングならもう少しテンションを上げても良いかな。
ホールド感
マルチの中ではソフトさはやや控えめ。プレストレッチ加工が効いているのでしょうか。
ソフトなくわえ込みは少なく、球離れの早いストリングです。
スピン性能
ストリングの滑り戻りがよく、しばらくは糸ずれが生じません。
ストリングのハリ感と合わせて、気持ちよくスピンをかけていける、スピン性能高めのマルチストリングでした。
非常に高反発ながら、スピン性能も良いため、結果的にコントロール性能にもつながっています。
マルチ好き、かつスピンも重視する人にはかなりマッチしそうです。
テンション維持性能
51ポンドで張り上げ、面圧は51.1ポンドとやや低めに出ます。これはプレストレッチ処理(バイフェイズ処理)の影響と考えて良いのではないでしょうか。
2時間使用後の初期テンション低下は3ポンドで、初期テンション維持性能は高いです。
今後も継続して観察していきたいと思います。
- 張り上げ翌日 約2時間使用後 48.1ポンド、▲3ポンド、▲5.9% テンション低下は少なく今後の維持率も期待度大
- 張り上げ5日後 約4時間使用後 47.2ポンド、▲3.9ポンド、▲7.6% テンション維持率良好
- 張り上げ12日後 約6時間使用後 46.2ポンド、▲4.9ポンド、▲9.6% テンション維持率良好
- 張り上げ30日後 約9時間使用後 46.1ポンド、▲5ポンド テンション下げ止まり状態
- 張り上げ37日後 約10時間使用後 46.7ポンド 下げ止まり状態継続
- 張り上げ50日後 約10時間使用後 46ポンド 下げ止まり状態継続
- 張り上げ62日後 約11時間使用後 46.1ポンド 完全に下げ止まり → 11時間超えた辺りで切断
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング2時間程度ではキシミが発生せず、ノッチもほとんどなし。ストリングの滑りも維持しています。
経験上、テクニファイバーのマルチは毛羽立ちが生じると一気に劣化が進みます。この表面コーティングはどこまで耐えてくれるでしょうか?
5時間を超えると、表面の毛羽立ちが目立ち始めます。そこから意外と頑張ってくれましたが、11時間強で切断しました。
切断後の修正評価
大きく評価に変化はありませんでしたが、「今回は意外と切れなかった」結果でした。ただし決して高耐久性のストリングではありません。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 |
コスト
2020年12月時点で、定価はXR3より1300円高の高級ストリングです。
ただ流通価格はすでに2千円を切っており、素晴らしい高性能の割には安く入手することが可能です。
高級ではありますが、コストパフォーマンスには優れるストリングと言って良いでしょう。
ホームストリンガー視点での感想
適度なハリと柔軟性のバランスが良く、表面のサラサラ感と合わせて、
ホームストリンガーにとっては、非常に張りやすいマルチでした。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | X-ONE | ナイロンマルチでは最高の高反発 |
ホールド感 | XR3 | 柔軟性でXR3 |
スピン性能 | X-ONE | X-ONEもXR3も、毛羽立つまでは表面の潤滑性は良い |
テンション維持 | 引分け | 下げ止まった後の維持が素晴らしい |
切断耐久性 | X-ONE | X-ONEの表面コートはXR3より若干強い |
コスト | XR3 | 流通価格は断然安い |
基本性能はX-ONEの勝利です。
テンションによって印象は変わるとは思いますが、X-ONEは決してマルチの中では、ソフトさだけが売りではありません。
張る際に分かりますが、糸自体はしっかりしていて、実際ある程度の打ちごたえがあります。
XR3の上位互換として、より高性能を追求する際の選択肢になるのではないでしょうか。
インプレまとめ
テクニファイバー エックスワンバイフェイズ(X-ONE BIPHASE)1.24は、ハリを感じるしっかり系マルチで、爽快な打感です。
飛ばしてくれるし、スピン性能も良い。その性能が、結果的にコントロールにも寄与してくれます。
コストに糸目をつけないのであれば、個人的にはベストに近いマルチストリングです。
さいごに推奨プレイヤーをまとめます。
- ボールを楽に飛ばしたい
- ソフトすぎるマルチは苦手
- スピン性能が重要
- ナチュラルに近いマルチを探している
- ホームストリンガー(リールであれば¥1500円未満で張ることが可能!)
- プレースタイルはオールラウンドに対応