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【初めてガットを張る人へ】/ガット・ストリングの張り方②「メインストリング/縦糸」編

ガット張り初心者向けに、できるだけ分かりやすく解説します。

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前回の「張りはじめ」編に続いて、今回は「メインストリング/縦糸編」です。

縦糸を張ること自体は全く難しくありませんが、均等に張っていく方法、クロスストリング/横糸につなげるための留意点を中心にご紹介します。

用語解説

メインストリング:縦糸のこと

クロスストリング:横糸のこと

ショートサイド:1本張りする場合の、主にメインストリング半分を張っていくための短いサイドのストリングのこと

ロングサイド:1本張りする場合の、メインストリング半分とクロスストリングのほとんどを張っていく長いサイドのストリングのこと

クランプ:引っ張ったストリングを挟んで固定する器具のこと。爪の本数によって、3本爪クランプ、5本爪クランプなどがある。

グリッパー:ストリングを挟みこんで引っ張る部分のこと

スターティングクランプ:フレーム外でストリングを固定したり、最後の1本の長さがギリギリ足りないときにグリッパーに届かせるために使う器具

Contents

メインストリングを張っていく

仮止め後の張り方

仮止め完了後の手順から説明をします。

フレームへの負荷を考慮し、片方を3本程度張ったら、もう片方は5~6本ずつ張る。

すなわち、引っぱったガット本数の左右差が3本以内くらいの範囲で、左右バランスを取りながら張り上げていきます。

写真では、左面を3本多く引いたので、この程度を限界として続いて右面を張っていきます。

左右3本以内の差で張っていく理由

張り上げ中のフレーム変形の左右差を避けるためです。

理想を言えば、左右を2本ずつ張っていく(常に差が1本以内になる)のがベストかも知れませんが、それだと作業効率が下がるため、もう少し寛容に考えても大丈夫です。

最近のラケットは剛性も高いので、多少の差で大きな問題は、まず起こりません。

作業効率とラケット変形のリスクを天秤で考えた時に、3本差以内程度が一番ちょうど良いラインと考えます。

クランプ時にガットが滑っていないか確認

クランプしたガットが滑っていないか、指でしっかり確認をしていきます。

もし滑っていれば、クランプの挟み具合をきつめに調整、逆にクランプがきつすぎるとガットが痛むので、その場合はクランプを緩めるように調整します。

張り上げ中のテンションロスについて

直前の糸のクランプとグロメットの間の部分(写真の矢印部分)は、テンションが掛かっていない状態になり、ここがテンションロスにつながる部分となります。

グロメットには摩擦が存在するので、次の糸を引いた時でも、この部分のテンションロスが十分取り戻せません。

そのため、次の糸をグリッパーで引いた状態で、緩み取り(ロスしたテンションを取り戻す作業)をしてあげる必要があります。

緩み取りは、グリッパーでテンションを掛けている状態で、指かセッティングオールを使って行います。

ただしこの作業はコンピューター制御のマシンか、分銅式でしかできません。この『緩み取り作業』については、以前の記事で紹介していますので、詳しくご覧になりたい方はぜひご覧ください。

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グロメットの通し間違いに注意!

グロメットが隣接している端の方は、メイン・クロスの通し間違いが起こりやすい部分です。

写真のプリンスラケットは、メイン用のグロメットに矢印マークでガイドしてくれています。

このようなガイドがないラケットの場合は、自分で糸の平行を確認したり、糸の本数を確認しながら、注意して通していく必要があります。

メインストリングを張り終えたら

張りムラを慣らす作業

メインを張り終えたら、左右の張りムラを慣らしましょう。

ムラの確認方法は簡単です。

左右同じ糸を弾いて音を聴き比べ、音が大きく違う場合は、セッティングオールや指を使ってほぐしつつ、同じ音になるように調整=調音します。

完璧に同じ音にするのは難しいので、おおよそで問題ありません。

ショートサイドのタイオフについて

1本張りの場合、ショートサイドはどのタイミングでタイオフすると良いでしょうか?

タイオフのタイミングは、いくつかの選択肢があるので、カンタンに解説します。

スターティングクランプがない場合

スターティングクランプがなければ、ショートサイドは、メインを引き終わったらすぐにタイオフする以外の選択肢はありません。ショートサイドを引き終えたら、そのままタイオフし、残りのロングサイドでクロスストリングを張っていきます。

ストリング使用量目安】

100sqinch/16×19の場合:ショートサイド4本分、ロングサイド11本分

100sqinch/18×20の場合:ショートサイド4.5本分、ロングサイド11.5本分

ちなみに、メインストリングの最後が下側(グリップ側)で終わるストリングパターンのラケットは、1本張りをするためには、クロスは下から張っていくしかありません。

このパターンのラケットでクロスを上から張りたいのであれば、2本張りにするしかありません。

スターティングクランプがある場合

スターティングクランプがあるだけで、張り方の選択肢はかなり広がります。張り方詳細はここでは省略しますが、概要だけ以下紹介します。

ゴーセン張り

ショートサイドを張った後、クロスも3-4本ほど張ってからタイオフする方法。ちなみにロングサイドはクロス4-5本目から張っていく。

ショートサイドでクロスを3-4本張る時に、ロングサイドは一度スターティングクランプで固定しておく必要がある。

※ショートサイドをタイオフする前に、ロングサイドでクロスを何本か張り進めるやり方もある。

ストリング使用量目安】

ショートサイドでクロス3本張る場合

100sqinch/16×19の場合:ショートサイド5本分、ロングサイド10本分

100sqinch/18×20の場合:ショートサイド5.5本分、ロングサイド10.5本分

アラウンドザワールド(ATW)

縦糸の最後の1本を張らずに、ショートサイドかロングサイドで、ラケットを1周させる張り方。1周させる場所、タイミングなどで、無数のパターンがある。

ラケットの変形を防ぎやすい効果や、1本張りでクロスを上から張りたい場合に選択される。

※アラウンドザワールドは、横糸の位相を間違えやすいなど、少し注意を要する張り方でもある。

メインストリングのタイオフ

1本張りでも2本張りでも、基本的にタイオフ(結び目)の作り方は変わりません。

私の推奨は、パーネルノット、ダブルノットです。この2つさえ覚えておけばほぼ対応可能です。そして、グロメットを痛めかねないエイトノットは非推奨です。

詳しい結び方は、以前の記事を参照ください。

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まとめ

以上、メインストリングの張り方、横糸へ展開する際に必要となる情報をまとめました。

次回は、横糸編に続きます。

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