ついに買ってしまいました、プリンス ビーストDB100を。
昨年7月の発売前試打会で経験して以来、あの打感、性能をもう一度味わいたいとずっと考えていました。また、もしかしてプレーの面で新境地を開いてくれるかもしれないという思いもあって、入手することにしました。
改めて、しっかりヒッティングしてきましたので、DB100を語ります!
ビーストDB100(BEAST DB 100)機能・コスメについて大解剖
DBって何!?衝撃緩和機能の名前です
ストリングスの衝撃・振動減衰機能をラケットに標準装備。
https://princetennis.jp/technology/db-system
ダブルブリッジ形状のスロート部にサンドされた高分子エラストマーが特徴的。
センター部のストリングスがグロメットに触れることなくダイレクトに触れることでストリングスの衝撃と振動を即座に軽減。一般的なグロメットと比べて、中心部のストリングスの可動部が約7mm長くなり、経糸がたわみやすくホールド感がアップ。テキストリーム×トワロン素材の「掴んで弾く」感覚がさらに強調され、プレーヤーに圧倒的な安心感をもたらす。
まず、ラケット名となっているDBとは、ダブルブリッジシステムのことを示します。
ブリッジが2つに分かれ、その間に振動吸収のためのエラストマーが挟み込まれる、プリンスの伝統的ラケット構造のひとつです。DBのフェイス側にはグロメットホールが存在せず、ストリングがエラストマーに直接触れることで振動を吸収します。
エラストマーを外して触ってみると分かりますが、ストリング用振動止めの類と比較すると、ずいぶん硬質な樹脂でできています。そこに施されるストリングホールは、真ん中の二つが小さめ。外側二つずつはやや大きい作りとなっています。
この素材感、穴の大きさから考えて「振動を過剰に抑制せず」、打球情報も重視しているのではないかと想像しました。
このDB機能は、さかのぼるとカプリアティが使っていたシナジーシリーズ、そしてパトリック・ラフターが使用していたプレシジョンシリーズ、レスポンスシリーズ、TTウォリアー、そして杉山愛さんが使用していたモアコントロールDB、ハリアーDBにも用いられていました。
特に今回のビーストDB100は、1997年全米オープンでラフターが優勝した際の『Precision Response 660PL』を彷彿とさせるカラーリングでもあり、ラフターファンの私には垂涎ものなのです。
ATS(ANTI-TORQUE SYSTEM=アンチトルクシステム)
高機能カーボンであるテキストリームにアラミド繊維であるトワロンを編み込み、ラケット上部10時2時の位置に配置したのが、ATS(ANTI-TORQUE SYSTEM)です。
シャフトに加え、フェイスの10時と2時にTeXtreme × Twaronを配置することで、ラケット上部の剛性が増し、ボールの推進性とコントロール性がアップ。更には、振動吸収性が増し、クリアな打球感で「掴んで弾く」性能が向上。
https://princetennis.jp/technology/ats
ATSの効能として、高い面安定性と衝撃吸収性能があげられます。
その他機能
レクサスフレーム+エアロフェイス
ボックスフレームとエアロダイナミックフレームの中間の形状。パワー、スピン、コントロールをバランスよくサポートします。
https://princetennis.jp/technology/lf_af
パラレルホール
全体の86%のストリングがフレームの外側まで1直線になるようにグロメットホールを設定。スウィートエリアが(特にトップ方向へ)拡大。スウィートエリアとヒッティングポイントがリンクし、パワーとスピン性能をアップします。
パラレルホールの特徴
https://princetennis.jp/technology/parallel-hall
パラレルホール設計は、バンパーとグロメットのセパレート構造を必要とします。
フレーム上部やストリング面を手で叩くなどした場合、ストリングの種類やストリングが張られた状況によっては、ごくまれに、バンパーとグロメットのセパレート部分で共鳴音がする場合がありますが、プレイするうえでボールヒッティングとその結果には影響ありませんので、安心してパラレルホールテクノロジーの効能を実感ください。
一方で、TOUR100と比較するとDB100のホール自体は小さめで、ストリンギングの際は若干通しにくいです。
ビーストDB100(300g)とTOUR100(310g)の比較
カタログスペック紹介
BEAST DB100 | TOUR100 | |
フェイスサイズ | 100inch2 | 100inch2 |
平均ウェイト | 300g(280gもラインアップ) | 310g(290gもラインアップ) |
バランス | 320mm | 310mm |
全長 | 27inch | 27inch |
スイングウェイト | 285 | 290 |
フレーム厚 | 24-26-23mm | 22-23-20mm |
パワーレベル | 1025 | 850 |
素材 | カーボン+テキストリーム×トワロン×高分子エラストマー | カーボン+テキストリーム×トワロン |
グリップ | RESI TEX PRO(ブラック)、サイズ1,2,3 | RESI TEX PRO(ブラック)、サイズ2,3 |
ストリングパターン | 16×19 | 16×18 |
推奨テンション | 40-48-56lbs | 42-50-58lbs |
発売 | 2021年9月 | 2020年9月上旬 |
生産国 | 中国製 | 中国製 |
メーカー説明 | スウェーデン製の高品質カーボン素材テキストリームxトワロンをシャフト部とフェイスの2時10時部に搭載。ATSでパワーアップした前作BEASTをベースにD.Bシステムを搭載してストリングスの振動をダイレクトに取り除き快適な打球感を実現。BEAST 100は「弾き感」に対してBEAST DB 100は「乗り感」重視のNEWモデル。 | フェイスの2時10時部分にTeXtreme+Twaron搭載のATSシステムで更にパワーと打球感が向上。オーバル形状と捻じれの少ないBOXY形状でレベルスウィングのプレーヤーに最適な攻撃型モデル。 |
ビーストDB 100(300g)のインプレ・レビュー/TOUR100との比較
ビーストDB100 セッティング:シグナムプロ ファイヤーストーム125 48ポンド 1本張り
性能バランスがよく、クセの少ないファイヤーストームを張り上げて評価しました。
性能面:「面での掴み感」と「スピンの収まり」が特徴的
プリンスラケット独自の指標であるパワーレベルは、ビーストDB100(300g)で1025、TOUR100(310g)が850であり、フレーム自体のパワーはDB100が勝ります。
普段TOUR100を使っている感覚で、何も考えずにDB100を打つと、引っ掛かりが良いこともあって、ボールの弾道が上がります。厚い当たりで打った時に、面の掴み感が強く、楽に飛距離が出るため、自分の中での調整が必要になりました。
一方で、少し矛盾するように思われるかもしれませんが、スピンをかける意識があれば、かなりコートへの収まりがよく感じます。特にボレストのストローク側の際、コンパクトスイングでもパワーが出しやすく、ちょっとした意識によってスピンの効いた沈むボールが行ってくれるので、「ミスの少ない後衛」が実践できました。
またボレーに関しては当てるだけでもパワーが出しやすく、非常に楽に良いボールが打てました。ボレーの面乗りはかなり良好で、ダブルスにも向いたラケットと言えそうです。
ひとつだけ気になったのは、サービスのスピードと回転のバランス。スイングパワーが回転に取られ、その分スピードが落ちるような感覚がありました。フラットに当てるとそんなことはないのですが、引っ掛かりが良い分回転系サービスのスピードが落ちるというのは、意識的に調整が必要になる部分でした。サービスについては、TOUR100の方が素直にコントロールしやすいな、というのが率直な感想です。
黄金スペックだけあって、スピン性能は非常に高い。スピンの意識を持ちつつある程度振っていく方が、良いコントロールにつながる、タッチ系のショットも十分こなしてくれる、そんなラケットです。
打感:面の乗りは良いが単なる柔らかラケットではない
打ち心地としては、フェイス=面で掴むような乗り感がありますが、フレーム自体はしっかりしており、しなり過ぎによるパワーロスはありません。ラケットのしなりよりも、面のたわみが特徴的なラケットです。
一方、ATSやDBなどの機能によって、衝撃の減衰性は高く、カンカンしたハードさは一切なく、手や腕には優しそうです。
DB100とTOUR100とのショット性能比較
私の場合ですが、現在使っているTOUR100とのショット性能を比較してみます。
ショット | 優位 | 説明 |
---|---|---|
ストローク(スピン) | DB100 | スピンをかける意識をもって振り切ると非常にコートへの収まりが良い |
ストローク(フラット系) | TOUR100 | TOUR100の方が適度な飛距離 |
ストローク(スライス) | DB100 | 面乗りの良さで楽に伸びるボールがいきやすい |
サービス | TOUR100 | スピードと回転のバランスがはかりやすい |
ボレー | DB100 | 当てるだけでもパワーが出しやすい 面乗り・食いつきがよい |
ボールを受けてくれたコーチの感想
1レッスンフルでDB100を使いましたが、普段のTOUR100との印象の違いをコーチにも聞いてきました。
DB100を使ってのプレーと、普段のラケットTOUR100を使ってのプレーで、どんな違いを感じましたか?
ストロークのボールの勢い、攻撃力はTOUR100が上。
コートへの収まり=コントロール、スピンボールの安定感はDB100が上。
それぞれのメリットデメリットを天秤にかけて、何を重視するかで選択してみては?
まとめ
私の場合ですが、簡単にまとめるならば、
ある程度しっかりしたプレーが求められ、自分のやったことが反映されやすい素直な性能のTOUR100。あらゆる面で、余計なことをしてくれない安心感がある。
フレーム自体のパワーと独特の面の乗りの良さが快適で、楽にスピン系やタッチ系のショットが打てるDB100。パワーを出しやすいため、瞬間的な判断が求められるダブルスにはかなりフィットしそう。
しばらく悩みながら、両方を使っていきたいと思います。