”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”25本目は、
『テクニファイバー TGV 1.25(TECNIFIBRE TGV)』です。
TGVは、テクニファイバーのマルチストリングの中で最も柔軟性に富みつつ、テクニファイバーの持ち味である、ポリウレタンの反発感もしっかり表現されているストリングです。
テクニファイバー TGV 1.25(TECNIFIBRE TGV)の特徴・スペック
最初に、製品プロフィールです。
メーカー | テクニファイバー(Tecnifibre) |
製品名 | TGV |
ゲージ | 1.25mm、1.30mm、1.35mm |
カラー | ナチュラル、ブラック、ピンク |
素材/構造 | ナイロン(ELASTYL TM) 、ポリウレタン |
製造国 | MADE IN FRANCE |
価格情報 |
定価12m:3,630円税込、200m:50,820円税込 市価最安値:12mカット品1,560円 +送料250円 (2021.5.5時点)、200m23,270n円送料込 |
うたい文句 |
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テクニファイバー TGV 1.25のインプレ
【セッティング】
PRINCE TOUR 100(16×18)
52ポンド、プレストレッチなし、1本張り(ゴーセン張り)
2時間打ってきました。★点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
テクニファイバーが得意とする、ポリウレタン配合のナイロンマルチの中でも、最も柔らかいのがこのTGV。メーカー情報では、ポリウレタンの配合量が多いことが特徴のようです。
ややしっかり目のX-ONE BIPHASE、芯糸を擁し高反発とソフトさを両立したモノマルチのXR3、芯糸がなく高い柔軟性がありつつコシも残すNRG2、
そして、反発感を損なわずに柔軟性を追求したTGVです。
テクニファイバーのマルチストリングの素晴らしさは、むやみにソフトさだけを追求するのではなく、しっかりと反発感も表現できるところ。TGVは「柔らかい」ですが、ボヤけた打感ではなく、心地よい反発が感じられました。
スピンが特にかかるストリングではないため、その分スイングパワーが推進力として伝わり、ボールのスピード・飛距離につながる。人によっては、飛びすぎでコントロールが悪いと感じるケースもありそうです。
私の基準ストリング、XR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
反発感・ホールド感
反発感は良好です。比較的カラッとしたX-ONE・XR3、ソフトかつコシがあるNRG2と比較すると、TGVはややウェットさを感じます。
そして、ボールをホールドしてくれる感触も感じ取れるでしょう。
手腕への負担、硬いストリングが期待な人にとっては、この感触は安心感につながるはずです。
スピン性能
初期のストリングの滑り戻りがよいのは、テクニファイバーマルチの特徴ですが、TGVはその維持が悪い。
すぐにキシみが出るし、テクニファイバーの中では最も毛羽立ちが出やすく、スナップバック、スピン性能が高いわけではありません。
ただし、普段からのマルチユーザーであれば、「マルチストリングのスピンはこの程度」と割り切れるレベルだと思います。
テンション維持性能
52ポンドで張り上げ、面圧は52.7ポンドでした。
都合により、張り上げ後3日間テニスができなかったのですが、その間のテンション低下が3.3ポンドでした。ナイロンマルチでも、打たずに放置してあるだけでこれだけテンションが下がるのです。
3日後に2時間使用した後のテンション低下は(張り上げ直後比)3.9ポンド。テンション維持性能は高い、と解釈して良いと思います。
- 張り上げ直後 指定テンション 52ポンド、張り上がり 52.7ポンド
- 張り上げ3日後ヒッティングなし 49.4ポンド、▲3.3ポンド、▲6.3% ヒッティングなしでもこれだけテンションロスする
- 張り上げ3日後 2時間使用後 48.8ポンド、▲3.9ポンド、▲7.4% ヒッティング前との比較で0.5ポンドしか低下しなかった点は評価できる
- 張り上げ15日後 3.5時間使用後 47.1ポンド、▲5.6ポンド、▲10.6% 下げ止まり状態
- 張り上げ24日後 4時間使用後 46.5ポンド、▲6.2ポンド、▲11.8% 下げ止まり状態
- 張り上げ36日後 5時間使用後 45.7ポンドの直後に切断
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング2時間で、キシミと毛羽立ち、ノッチがかなり生じます。
TGVは、テクニファイバーの他銘柄のポリウレタンマルチの劣化の仕方と同様で、ここから一気に劣化が進むことは想像に難くありません。
5時間以内の切断は間違いなさそうです。
最終的に、延べ5時間使用後に切断しました。
コスト
2021年5月5日時点で、定価はXR3より700円高の上位ストリングになります。
流通価格も、12mカット品1810円(税・送料込)と、そこまで安いとは言えないストリングですので、もし気に入った場合はロール購入が断然おススメです。
ホームストリンガー視点での感想
ややもっちりとして柔らかいため、非常に扱いやすいです。
ホームストリンガーにとっては、とても張りやすいストリングです。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 弾きの”強さ”でXR3に軍配 |
ホールド感 | TGV | 高いホールド感 |
スピン性能 | XR3 | さほど差が大きいわけではない |
テンション維持 | 引き分け | 今後変わる可能性 |
切断耐久性 | XR3 | 今後変わる可能性 |
コスト | XR3 | 流通価格は断然安い |
爽快高反発のXR3、反発と柔軟性のTGVという評価になります。
とにかくソフトなマルチが好き、ホールド感を求めたい場合はTGVを選んでみてはいかがでしょうか。
インプレまとめ
テクニファイバー TGV(1.25)は、特に柔軟性・ソフト感が特徴で、反発感が損なわれていない点がメリットで、存在価値のあるマルチです。
フラットドライブ系、女性、ジュニアにも受け入れられやすそう、そんな印象でした。
さいごに推奨プレイヤーをまとめます。
- とにかくソフトなストリングを探している
- あまりストリングを切らない
- 女性、ジュニア、スイングスピードが早くない人
- フラット系
- 手腕にケガの不安がある人