2020年9月5日追記
”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”7本目は、モニター当選で入手した『ダンロップ アイコニックスピード1.25』です。
カラっとドライな良いストリングでした!
ダンロップ アイコニックスピード1.25のスペック
2020年8月に発売予定のダンロップ アイコニックスピード。2020年6月30日にバボラとの独占販売契約が終了したダンロップが、満を持して発売するニューストリングラインアップのひとつです。
https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2019/sp/2019_s44.htm
良い製品に国境はないのですが、ダンロップストリングは日本製で、やはり日本人としては嬉しい気持ちになります。
張り上げ時点で感じたのは、表面コートがサラりとしていて、触り心地は硬質感があり独特ということ。このコーティングの質感は、少しマニアックですが、弾きの良いモノマルチストリング”キルシュバウム タッチデュラに”よく似てると感じました。
アイコニックスピードは、マルチにも関わらず表面コートの硬さが売りのようで、どんな打ち心地になるのか、非常に楽しみです。
まずはプロフィールです。
メーカー | ダンロップ(DUNLOP) |
---|---|
製品名 | アイコニックスピード(ICONIC SPEED) |
ゲージ | 1.25mm、1.30mm |
カラー | ナチュラル |
素材 | ナイロン、ポリウレタン |
構造・特徴 | 断面の絵から判断して、比較的粗目のマルチフィラメントか。ポリウレタンによって軽快感も狙ったと推測。硬めの表面コーティングが売りのひとつ |
製造国 | MADE IN JAPAN |
定価 | 12m:¥2,200+税 240m:¥29,000+税(ロールタイプ) |
メーカーうたい文句 | 硬めでスライド性に優れたコーティングを採用し、レスポンスを追求。 しっかりとした打球感で、より攻撃的なスピードボールを実現。 |
ダンロップの公式サイトでは、機能・性能評価がとても細かく載っていてとても参考になります。サイトを見るだけでダンロップの熱量と製品への自信が感じられます。
https://sports.dunlop.co.jp/tennis/products/string/iconicspeed.html
ダンロップ アイコニックスピード1.25のインプレ
PRINCE TOUR 100P(18×20)52ポンド、1本張りで張り上げました。
さて、延べ1.5時間打った後の☆点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
アイコニックスピードは一言でいうならば、カラっとドライな独特のマルチストリングです。モノストリングに近いような爽快感があります。表面コートの硬質感は心地よく、私は非常に好みでした。全体的に性能面も悪くない。
基準ストリングであるXR-3の評価も記載します。総合点では同等以上の結果です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
続いて各性能について、XR3との勝敗も示していきます。
反発感
私がXR3を好む理由は、芯があり、伸縮性が高く、心地よく弾く感覚がマッチするためです。
アイコニックスピードは、マルチの中では硬質でドライな反発。引き付けてパンっと弾くフラットドライブ系が一番はまりそうです。メーカーうたい文句では、打ち出し角が低目で、鋭く伸びる軌道との表現ですが、どうなのかな?ストリング自体が弾道を上げないというよりは、低い弾道で打とうとするとマッチする、という方が正しいかも知れません。
XR3で感じる伸縮性のある”バネ感”は少ないですが、おそらくポリウレタンの良い影響もあり、飛ばないワケではない。ちょうどいい!って感じます。
ホールド感
マルチの中では硬質で、柔らかなホールド感はありません。面にボールを乗せるような、食いつきは感じにくいです。
なんだかモノストリングに近い感触です。ストリングのホールド感を生かしたタッチ系にはマッチしにくそう。
逆にパンチ系ショットにはマッチしそうです。
スピン性能
表面コートはサラサラで滑りが良く、ストリングの戻りがよくてスナップバックが働きます。スピン性能は良好です。
ただカス当たりスピンだとボールが浅くなりやすいので、しっかり押しながらスピンを掛けたいところです。
マルチの中でスピン性能が高い1本を探している方にはおススメします。
テンション維持性能
- 52ポンドで張り上げ、直後は58.8ポンドの面圧。このアプリは、硬質なストリングで面圧が出やすいのかもしれません。
- 張り上げ当日、1.5時間プレー後のテンションは、さほど落ちていない。初期テンションの維持も良さそうです。
- 張り上げ9日後、3時間使用後49.8ポンド、△9ポンド、△15.3%、テンションが急激に落ちました。まだ表面コートの滑りの良さは何とか保っており、ノッチも少な目です。
- 張り上げ35日後、おおよそ6時間は使用し、49.1ポンド、△9.7ポンド、△16.5%。下げ止まったようです。
- 張り上げ40日後、約7時間使用後 49ポンド 表面毛羽立ちなく見た目も維持しています。テンションは下げ止まり状態です。
- 張り上げ44日後、約8時間使用後 ストローク中に切れました。
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング開始1.5時間後の毛羽立ちなし、キシみなし、ノッチも気にならないです。確かに表面コートは強そうで、期待が持てます。
2020年9月5日追記
表面の毛羽立ちはない状態、ややノッチが気になり始めた段階で、張り上げ44日後、約8時間使用後に切れました。マルチとしては切断耐久性は良いです。
切断後の修正評価
テンション維持は評価を下げ、切断耐久性の評価を上げました。総合点は変わりませんでした。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 |
コスト
2020年8月発売予定ですので流通価格は未知数ですが、定価はXR3より-300円。コストパフォーマンスは素晴らしいマルチです。
ホームストリンガー視点での感想
1.25mmという細さ、マルチの柔らかさがありつつ表面は硬質で扱いやすく、ホールも通しやすい。コーティングのサラサラ感で横糸も非常に通しやすい。クランプ部分の白潰れはマルチの宿命ですが、さほどではありません。クランプの滑りは感じられないです。
ストリンガーにとってはこの上なく張りやすい1本でした。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 僅差でXR3。どちらもシャープで心地よい |
ホールド感 | XR3 | やや硬めのアイコニックスピード |
スピン性能 | IS | スピン性能はアイコニックスピードの売りのひとつ |
テンション維持 | XR3 | ISは1週間後の落ちが大きい |
切断耐久性 | IS | マルチとしては良好 |
コスト | IS | コスパ最高のストリング |
ダンロップ アイコニックスピード1.25は、反発感は適度、ホールド感少な目、スピン性能良好です。テンション維持も良さそうは劣るが、コーティングが丈夫で耐久性は良い。全体のバランスに優れるストリングでした。
硬質な打感でありXR3の性格とは異なります。コストも考慮しているので、総合点ではXR3を少し上回る点数となりました。
XR3にマンネリを感じもっとドライな打感が欲しい、そんな気分の時なら、バランスの良いアイコニックスピードはXR3からの代替として使いたいと思いました。
ダンロップ アイコニックスピード1.25インプレまとめ
ダンロップ アイコニックスピード1.25は、コストパフォーマンスが高く、ドライで爽快、性能的にバランスの良いマルチです。ポリエステルやモノから置き換えの際にも、良い選択肢となりそうです。
推奨をまとめます。
- 引き付けてパンっと弾くフラットドライブ系
- パンチ系ショットが得意
- マルチが好きだがスピン性能は重要視する
- コストを重視する
- 耐久性の良いマルチを探している
- ポリエステル・モノストリングから置き換えの選択肢として