”XR3を基準としたマルチフィラメントのインプレ”12本目は、マルチの基準ストリングとして名高い、『バボラ ブリオ125』です。
一言で表すと、ちょうど良いバランス派マルチストリングです!
バボラ ブリオ125のスペック
ポリウレタンを配合せず、純粋にナイロンで勝負している、バボラ ブリオ125です。
このストリングは、敬愛する先輩ブロガー”TRUEMAN”さんの”アドバンテージブログ”でも紹介されているように、ストリング選びの基準として位置付けられる、ロングセラー製品です。
今回あえてインプレに挑んでみます。
まずは、バボラ ブリオのプロフィールです。
メーカー | バボラ(Babolat) |
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製品名 | ブリオ(Brio) |
ゲージ | 1.25mm、1.30mm、1.35mm |
カラー | ナチュラル |
素材 | ポリアミド(ナイロン) |
構造・特徴 | 中心の太いマルチ束を、8つの細めのマルチ束が囲む”工夫された構造” |
製造国 | MADE IN FRANCE |
定価 | 単張り2,200円+税(12m) ロール29,500円+税(200m) |
メーカーうたい文句 |
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バボラ ブリオ125のインプレ
PRINCE TOUR 100P(18×20)
51ポンド、1本張りで張り上げました。
延べ3時間打った後の☆点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
マルチにしては柔軟性は低目、マイルド過ぎず硬すぎず
抑えめの弾力感によって思い切って打てるマルチ
こんな印象です。
さて基準ストリングであるXR-3の評価も記載します。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
粘りつつ、爽快な反発が売りのXR3とは明らかに性格が異なるブリオです。
反発感
ソフトで軽快というメーカーの売りとは、少し違う印象。
マイルドさが売りのマルチストリングの中では、硬めに位置するマルチで、おそらくコーティングがしっかりしている影響がありそう。
ポリウレタンは配合されず、弾力性も抑えめで、反発が悪くはないが特別良いわけでもない。中程度の反発性でした。
飛び過ぎを恐れずに、しっかり”打っていけるストリング”と言えます。
ホールド感
モノよりは柔らかくホールドする感触がありますが、マルチの中では中の下くらいのホールド感です。
スピン性能
使用し始めてすぐに、滑りが悪くなり、ストリングはスライドしなくなります。スナップバックは大きくありませんが、糸の硬さによって引っかかってくれる感触があり、擦る系スピンとの相性が良さそう。
中程度のスピン性能と感じます。個人的にはスピンコントロールも良かったです。
ヘビースピナーでなければ、スピン性能に問題は感じないと思います。
テンション維持性能
51ポンドで張り上げ、面圧は54.8としっかり出ました。3時間使用後の初期テンション低下が小さいです。
耐久性も売りのようですが、テンション維持率も期待できそうです。継続して観察していきたいと思います。
- 張り上げ直後とヒッティング3時間後のテンション低下は3.5ポンド、▲6.4%とテンション低下が小さい
- 張り上げ10日後 5時間使用後 49.2ポンド ▲5.6ポンド ▲10.2%
- 張り上げ20日後 約7時間使用後 48.3ポンド ▲6.5ポンド ▲11.9% 下げ止まりと言って良いレベル
- 張り上げ30日後 約8時間使用後 48.1ポンド ▲6.7ポンド ▲12.2%
- 張り上げ50日後 約11時間使用後 48.3ポンド 下げ止まり
- 張り上げ62日後 約14時間使用後に切断
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング開始3時間でキシみを感じ、ストリングのスライドはほぼなくなります。ただし、表面コーティングは強そうで、毛羽立ちがなく、ノッチも浅めです。
切断直前まで、あまりノッチが深くならず、コシの強さが耐久性にも寄与しているようです。マルチでこの切断耐久性は十分でしょう!
切断後の修正評価
予想通り、テンション維持性能、切断耐久性も素晴らしかったため、切断後の修正評価はありません。
コスト
2020年9月時点で、定価はXR3▲400円、コストパフォーマンスに極めて優れたマルチストリングです。
ネットではロールのカット売りも見つかります。
ロールで買えばかなりお得です。
ホームストリンガー視点での感想
表面のコーティングがしっかりしたコシのある糸ですが、あくまでマルチですので柔軟性もあり、横糸はとても張りやすいです。
表面コートは厚く、クランプの白潰れなどは見えず、気をつかわずに張ることができました。
ホームストリンガーにとっては、張りやすい1本でした。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に以下の視点で採点をしています。
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 心地良い弾きの良さはXR3の良さ |
ホールド感 | XR3 | 柔軟性もXR3に分がある |
スピン性能 | Brio | スピンコントロールの良さでブリオの勝利 |
テンション維持 | 引分け | 初期テンション低下が小さいのはメリット |
切断耐久性 | Brio | ブリオの硬質感が耐久性につながりそう |
コスト | Brio | 定価、流通価格ともにブリオは格安 |
ブリオはコストパフォーマンスが高く、性能バランスは良いです。ただしXR3の打ち心地とは全く異なり、代替とするのは難しいでしょう。
XR3では柔らかすぎる、飛びすぎる、粘っこすぎる、高すぎる、そんな方であればブリオを試す価値がありそうです。
インプレまとめ
ブリオはパワーを出し過ぎることなく、マルチとしては弾力は抑えめ。
反発、ホールド、スピン、全てが突出せず、バランスを保っている。
価格、耐久性も考慮して、幅広いユーザーに検討してもらえそうな、基準として考えて良いマルチストリングです。
最後に推奨プレイヤーをまとめたいと思います。
- 飛びすぎるナイロンは嫌だ
- 柔らかすぎるマルチは嫌だ
- ポリエステルが硬すぎてしんどいのでナイロンに切り替えたい
- ヘビースピナーではなくナチュラルスピンやフラットドライブ系
- マルチが好きだがもっと強く打っていきたい
- 高耐久性マルチを求めている(今後の検証によって変わる可能性あり)