この記事には医療情報が含まれます。次の点をご留意いただいた上でご覧ください。
- あくまでも個人の一事例であること
- 誰にでも当てはまるわけではないこと
- 治療効果には個人差があること
2023年GW前の4月のとある日、片手バックハンドの打点が遅れ、腕力で無理やり打った瞬間に肘を痛めてしまいました。
30年以上のテニス人生で肘を痛めたのは初めてで、すぐに治るだろうと高をくくっていましたが、予想を超えて8ヵ月間も長患いしてしまいました。
受傷後2週間ほど経って整形外科を受診し、『テニスエルボー・テニス肘=上腕骨外側上顆炎』の診断が下り、電気治療、鍼治療、日々のストレッチを行ってきましたが、症状はいったりきたりを繰り返してきました。
そして最終的にこの12月に『トリガーポイント注射』を受け、ようやく寛解状態となりました。
同じく、テニスエルボーでお悩みの方々の参考になればと思い、私のテニスエルボーの経過を振り返って紹介いたします。
テニスエルボー=テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは
症状
ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。
原因と病態
中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれています。
一般的には、年齢とともに肘の腱がいたんで起こります。病態や原因については十分にはわかっていませんが、主に短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。 この短橈側手根伸筋は手首(手関節)を伸ばす働きをしています。
公益社団法人日本整形外科学会Webサイトより
日本整形外科学会Webサイトの解説通りで、モノを持ち上げる動作(手の甲を外側にした状態で持ち上げる動作)やモノを握る動作、日常生活でもかなり支障がある状態でした。
いわゆるバックハンドエルボーとも言われる、肘の外側の痛みで、テニスにおいては特に片手バックハンドの際に痛みを感じやすい症状でした。
整形外科を受診後の経過
テニス肘を患い、約2週間後に整形外科を受診し、しっかり『上腕骨外側上顆炎=テニス肘』の診断名がつきました。
おおよその経過は次の通りです。
- 4月中旬 スクールレッスン中に、片手バックハンドの打点が遅れ、腕力で無理やり打った瞬間に肘に痛みが生じる。テニスは継続
- 5月初旬 整形外科受診し、テニス肘の診断。リハビリとして電気治療開始。痛みはやや強いがテニスは継続
- 6月初旬 整形外科リハビリ継続。整形にて鍼治療開始。痛みは若干落ち着く。テニスは継続
- 6月~9月 症状はいったりきたり。調子が悪い日には何のショットを打っても痛い日もあり、腕への衝撃が痛みを誘発する感覚。鍼治療継続。テニスは継続するが頻度は考慮(連日は×)
- 10月~12月 痛みに慣れたのか、少しずつ気にならなくなるが、完全に痛みは消えない。テニスよりも日常生活にモノを持ち上げる動作の方が確実に痛む。テニスは継続
- 12月末 年末年始の10日以上の完全休養期間を狙い、肘への注射『トリガーポイント注射』を受け、即日痛みがほぼ消失。3日経過後も痛みのぶり返しなし。
テニスエルボーへの対応
医師からの指示としては、極力患部は安静、テニスをするならテニス肘用のサポーター装着、リハビリ(電気や鍼)、ストレッチの継続でした。
特に、テニス肘用サポーターは妥協せずに4種類購入し、最終的にプリンスのハイパフォーマンスプレミアムエルボーが自分にとってのベストでした。
リハビリ(電気治療、鍼治療)
整形外科にて、電気治療と鍼治療を中心としたリハビリを継続しました。
仕事多忙により週1受診がようやくだったため、途中からは自宅でもケアができるように、低周波治療器も購入しました。
ストレッチ
Youtubeでもたくさん紹介されていますが、私が整形外科で教わったストレッチ方法は主に3つ。それぞれ20秒ずつを目途に行います。日中時間ができた時、湯船などで、一日に何度か行いました。
- 腕を伸ばし指を伸ばした状態で手首を手のひら側に曲げる(回内側と回外側の両方)
- 腕を伸ばし指を折り込んだ状態で手首を手のひら側に曲げる(回内側と回外側の両方)
- 腕を伸ばし指を伸ばした状態で手首を甲側に曲げる
強く痛みが出ない程度に、負荷をかけて行います。継続していると、ストレッチで可動域と柔軟性が出てきました。
テニスエルボー治療中のテニスのプレーについて
「テニスの動きによって引き起こされたケガであることから、できるだけテニスをしないことは重要」と説明されましたが、そうは言ってもなかなかやめられないのがテニス…。
痛みが強い動きは避けること、少なくともプレー頻度は考えることも同時にアドバイスされました。
治療しながら、症状は行ったり来たりを繰り返したり、日によっては痛みを意識せずにプレー出来てしまうことから、なかなか完全休養できませんでした。それは、決して望ましいことではなかったと反省はしています。
『トリガーポイント注射』によって痛みがほぼ消失
テニス肘の痛みに対して高い効果があると言われているのがステロイド注射ですが、これには様々な問題もあるようです。もちろん、症状に合わせて必要な場合もあると考えられますので、一概に否定するものではありませんが、リスクがあることは理解しておいたほうが良さそうです。
- 繰り返し投与すると肘の靭帯がもろくなる可能性がある
- そのため投与回数に制限がある(2-3回までにとどめることが推奨される)
- なぜ効果があるのかがはっきりとわかっていない
今回、私が受けたのはステロイドを含まない『キシロカインによるトリガーポイント注射』であり、要は局所麻酔薬を肘の患部へ注射したことになります。
以下引用の通り、痛みからの解放によって患部の環境が改善され、根治を目指すことも可能という治療法のようです。
私の場合は、注射後即痛みが引き、3日経過後にもほぼ痛みがない状態が続いています。
トリガーポイント注射には局所麻酔薬が用いられることから一時的な鎮痛を得るための手技と誤解されがちですが、過敏化した筋・筋膜の環境をリセットし、痛みの悪循環を断ち切ることができるため、根治療法となりえます。
間庭整形外科 Webサイトより
まとめ
約8ヵ月間患ってきたテニスエルボーの痛みから、ようやく解放されました。
テニスエルボーは大半の人が1年以内にかなり回復できるという話ではありましたが、長引く痛みは少なからず不安をもたらします。
私は最終的にトリガーポイント注射によって寛解状態になったのですが、一般的にまずはストレッチやリハビリによって回復を目指す、自己治癒を目指すことが優先されます。
時間はかかりましたが、自分の体やテニスの技術的な部分と向き合うきっかけにもなったことから、無駄な時間ではなかったと信じています。毎回ケガをするたびにストレッチを行う箇所が増えていきますが、そもそも日々のストレッチはテニスをやる上で必要なことなのだ考えるようにしています。
ケガから大切なことを学んだのだ、そう言えるように今後も自分の身体と向き合いたいと思います。
今回紹介した私のケースはあくまでも私の一例で、テニスエルボーを患った方全員に当てはまる訳ではありませんが、何らかの参考になるなら幸いです。
この記事には医療情報が含まれます。次の点をご留意いただいた上でご覧ください。
- あくまでも個人の一事例であること
- 誰にでも当てはまるわけではないこと
- 治療効果には個人差があること