先日の記事で紹介した、名古屋大学発ベンチャー企業”fff fortississimo”が造るテニスストリングの続編。ベテランにもマッチしそうなポリ系のストリング探しの62本目、『オリジネーターH PET』です。
ポリ系としては平均的な硬さ~ややソフトな部類。ハードではない適度な打ち応えで、全くしんどさはありません。他メーカーのスケルトン系ポリと同様に、表面のキシミが生じやすい点が若干気になりました。
fff fortississimoとは!?
まず、このベンチャー企業の概要から紹介します。
fff 企業概要
fff社は「先端繊維材料をあなたの手に」をモットーとして,立ち上がったベンチャー企業です。新素材を採用したテニスストリング開発は,2015年から東海国立大学機構名古屋大学と産業技術総合研究所で開始しました。在籍する学生の協力,愛知県の三河繊維技術センターの技術指導によって,商品化に辿り着きました。今後は2022年に新設した同機構岐阜大学コンポジットセンター内Future Fiber Factory(FFF:我が社と名前もリンクしています)とともに,最先端技術を駆使したラケット競技用品の開発を進め,スポーツ新ブラントとしての地位を築いて参ります。
代表取締役(CEO)入澤寿平
https://fff-fortississimo.com/
ブランド名は、研究室の名前から命名されているそうです。
fff社は名古屋大学発ベンチャーに認定されました。
https://fff-fortississimo.com/
Future Fiber Factory (岐阜大学)と共同研究開発を進めます。
ブランドコンセプト
先端繊維材料に関する開発力をラケット競技用品(テニスストリングから採用)に存分に活用します。
テニスストリング
廃プラ削減の観点から,必要最低限のパッケージでストリングを販売します。環境負荷の大きい顔料も使用せず(着色は糸の物性にも良い効果は得られません),素材そのものの色を活かします。
“Simple is best, and simple makes reasonable cost.”を実現したストリングメーカーを目指します。シンプルな1本の繊維で構成されるモノストリングにこだわりを持ち,大学とのコラボレーションによる繊維開発力によってモノストリングの個性を活かしながらマルチストリングに負けない打感を達成します。
また,本サイト,Team fff専売契約者および本サイトで紹介するテニススクール,業務委託ショップからしか購入できません。
最先端技術を導入した高性能なストリングに過分なコストをかけないことで,手頃な価格であなたの手にお届けします!
https://fff-fortississimo.com/
まず注目すべきは、ストリングの性能を落とす可能性がある着色顔料を使わず、素材そのものの色で勝負しているところ。
ということは、他メーカーのストリングは着色することで物性を落としてしまっている(可能性がある)、ということかもしれません。確かに同じ銘柄でも色が変わると打感・性能が変わる、ということはを多くの人が経験しているのではないでしょうか。
初回限定 送料無料セットも!
ポリ系もナイロン系も、1,210~1,650円の範囲とかなり安い価格設定ですが、なんと初回限定で超特価のトライアルセットも販売されています。
種類 | 価格 |
---|---|
ナイロン/PET 7本セット | ¥2,860(送料無料) |
ナイロン系ガット3本セット | ¥1,320(送料無料) |
PET系ガット4本セット | ¥1,760(送料無料) |
fff fortississimo オリジネーターH PETの特徴・スペック
メーカー | fff fortississimo |
製品名 | オリジネーターH PET |
ゲージ | 1.25mm |
カラー | スケルトン(素材色) |
素材 | PET |
価格情報 | 定価:12m¥1,210(税込) |
商品説明 | オリジネーターPETに対して,硬めに設計したストリングです。ハードヒッターにおすすめです。 オリジネーターPETと同様に手頃な価格が魅力。 |
同社のポリエステルストリングの中では、最もハードでやや球持ち感の良いモデルになるようです。
fff fortississimo オリジネーターH PET 1.25mmのインプレ
【セッティング】
WILSON PRO STAFF X V14(16×19)
49ポンド、プレストレッチ5%、1本張り(ゴーセン張り)
いつも通りのセッティングで、延べ3時間打ってきました。
★点数
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感硬さ |
総評:ポリとしては平均的な硬さ~ややソフトな部類/打ち応えとホールド感の良いバランス/キシミの生じやすさ、テンション維持は課題
今回は、メーカーの製品説明と位置づけを確認しつつ、ヒッティングしてきました。
まず前回試したアルデンティーノPETと比較すると、打ち応えがあり、個人的にはこちらの方が好み。とは言っても、ポリエステルストリングとしては平均的か、若干柔らかい部類です。
メーカーの性能チャートとはイメージが違い、私は今回のオリジネーターHの方がクリアな反発感で、前回のアルデンティーノPETの方が球持ち感があるようです。ただし、メーカー性能チャートほどの大きな性能差はないと思います。
オリジネーターHは、スピンコントロールも悪くなく、自分の飛距離イメージとの差は少なく、全体的に違和感なく打つことができました。ストローク、ボレー、サーブと、ショット別の苦手も特に感じません。
課題としては、スケルトン系のポリ特有の表面コートの弱さ、表面のキシミが生じやすい点。インドアの1.5時間のレッスンでキシミが生じてストリングの戻りが悪くなってしまいました。
また後述の通り、テンション維持もあまり良いとは言えません。
テンション維持性能
テンション維持性能は低め
アルデンティーノPETと同様に、オリジネーターHも張り上げテンションが低くなりました。糸そのものが伸びやすい可能性があります。
初日のテンション低下も大きく、3日目で10%以上低下しましたので、テンション維持は低い傾向です。今後も経過観察していきます。
張上げ後 経過時間 | 延べ使用時間 | ポンド数 | テンション 変化 | テンション 変化率 |
---|---|---|---|---|
直後 | 0 | 47.6 | – | – |
当日 | 1.5時間 | 43.4 | -3.8 | -8.1% |
3日 | 3時間 | 42.4 | -4.8 | -10.2% |
7日 | 4.5時間 | 40 | -7.6 | -16% |
21日 | 6時間 | 39.3 | -8.3 | -17.4% |
ホームストリンガー視点での感想
ツルツルした触感で、ポリエステルストリングとしては張りやすさは普通レベルです。
インプレまとめ
fff fortississimo オリジネーターH PETは、平均的な硬さ~ややソフトなポリ。適度な打ち応えですが、全くしんどさはありません。
表面のキシミが生じやすい点、テンション維持の低さは少し気になります。
性能的にはあまりクセもなく、好印象でした。
- 中間的な硬さが好き
- 面のたわみ感を求めている
- クセの少ないポリが好み
- 普段から張替頻度は高め
- コスパ重視(低価格)