ホームストリンガーになりませんか?
自分でガット・ストリングを張ることができるようになれば、単純に楽しいですし、経済的にもプレイ面でも多くのメリットがあります。
今回は、そのメリットを理解して「ストリングマシンを買おう!」と思った方へ、マシン購入時に大切にするべき仕様と考え方をまとめたいと思います。
ストリングマシン 重要視すべきポイント5つ
所有しているコンピュータ制御のストリングマシン”スピンジャパン ディアナSP Ver.3”を実際に使っていると、やはり色々と感じるところがあります。私の実体験も踏まえて、ストリングマシンで外せないポイントをご紹介していきます。
制御機構で選ぶならこの2択!
制御機構=マシンの動力源が、
コンピューター制御か分銅式であること!!
推奨はこの2択です。
理由は以前の記事でも紹介しましたが、この2つの制御機構は、
- 指定テンションに到達してもロックせずに常に指定テンションを保つよう引き続けてくれる
- 引いている間のストリングの伸びに対応して引き続けてくれる
- 直前のクランプを外した後も引き続けてテンションを微調整してくれる
その結果としてテンションロスが最小限に抑えられます。正しくしっかりと張り上げるために欠かせない条件といえるでしょう。
もうひとつ、特に最近主流であるポリ系ストリングは比較的初期の伸びが大きいため、プレストレッチ(指定テンションよりも一度強めに引いてから指定テンションで引き直すこと)が推奨されます。このプレストレッチを簡単に行うためには、コンピューター制御である必要があります。
以上を踏まえてコンピューター制御ではない、指定テンションに到達するとロックしてしまう単なる電動機械式、バネ式は非推奨です。
ターンテーブルの仕様に注目してみる
ターンテーブルとは、ラケットを固定し回転する土台部分のことです。
ターンテーブルにロック機能が装備されていること!!
この点も重要なポイントと言えます。
ターンテーブルがロック=固定できると以下のようなメリットがあります。
- ストリングがサイドサポートと干渉してストリングに傷つくのが避けられる
- スターティングクランプで留めている部分を引く際にラケットが傷つくのが避けられる
- グロメットが傷つきにくい角度で固定してストリングを引くことができる
- プリンスのO3が張りやすい
昔はターンテーブルがついていない機種が多く、ストリングを引く角度を固定したい場合はお腹や手を使って人力で固定しましたが、それだと作業効率も悪く不確実でした。
また、ストリングを引いた際にオートロックが掛けられる機種もあります。
ラケットサポートは十分か?
ラケットのサポートには、サイドサポート(サイドアームとも言う)とセンターサポート(センタービリヤードとも言う)があります。このサポートは、
6点サポートであること!!
これが絶対条件です。少なくとも6点ないと、張り上げ時のラケット変形を十分に予防できません。
その他、出来るだけサイドサポートのアームの長さにもこだわるべきです。アームがあまりに短いと、張り上げ時の横へ膨らむ変形を抑える力が弱くなりますので、ラケットのサイド部分へ到達する十分な長さのアームの機種を選びましょう。
また縦への変形を防止するセンターサポート(ビリヤード)は、ラケットによってアタッチメントパーツの交換が必要な場合があります。このアタッチメントパーツの付属や対応(追加購入可否など)も考慮しておくとベターです。
ストリングの引き方
テンションを掛ける際、ストリングをグリッパーに挟んで引っ張りますが、その引っ張り方は大きく2種類あります。
- 横引き:ストレート式、スライド式
- 回転引き:ロータリー式、ドラム式
この引き方について、
理想は横引きであること!!
横引きのグリッパーは”ストレート式グリッパー”、”スライド式グリッパー”などと言いますが、とにかくこの横引きをする機種である方が推奨されます。
理由は、ストレート式グリッパーは回転式グリッパーと違い、ストリングを巻き込まずストレートに引くため、相対的にストリングへの負荷が少ないからです。純粋にストリンギングだけを重視するのであれば横引きを選びたいところです。
ただし回転式が絶対にダメなわけではなく、グリッパー自体はコンパクトで省スペースですし、こちらの方が比較的安く購入できるというメリットはあります。
尚、分銅式の引き方が回転引きになるのは構造上やむを得ません。
メーカーサポートを軽視してはいけない
ストリングマシンは精密機械です。分銅式、手動式(バネ式)、機械式のいずれにしても、パーツは消耗していきますし、時に壊れることもあります。電機系統の故障であればより高度なサポートが必要になる可能性もあります。
トラブル時の連絡体制、部品交換などのアフターフォローがなければ、部分的な不具合だけでも使えなくなってしまいます。
ストリングマシンは、高価格帯は日本製が多くサポートも充実していますが、低~中価格帯は台湾製が多いようで、しっかりしたサポートがついているかを確認しておく必要があります。
海外メーカーから個人輸入する場合でも、サポート体制について必ず確認しておきましょう。
その他 考えてほしいこと
予算はできるだけ頑張ってほしい!
ストリングマシンを使い始めると分かりますが、「もう少しお金を出してでも上位機種にすれば良かった!」と思うことが少なからずあります。
ストリングマシンは長く使うものですので、どれだけ早く費用回収できるかだけでなく、”ストリンギングに関わる機能”の方がより重要だと考えます。
- コンピューター制御
- ターンテーブルロック
- 6点式サポート(アームの長さ十分)
- 横引き
- メーカーサポート
上記した全ての条件を満たした場合、安くても30万円は必要です。クランプの仕様や付属品の質などにこだわると、もう少し高いクラスが欲しくなってしまいます。
しかしながらこれから数100回、数1000回と使うものですし、あとから機能を追加できるものでもありませんので、少し勇気を持った予算にすることをおススメしたいです。
私もマシン購入時点に戻ることができるならば、もう少し予算を増やして「横引き」で「サイドアームが長い」機種を選びます。本当に後悔先に立たずです。
備品は後から個別購入はできるが意外と高い
マシン本体以外に必要となる備品類は、
- セッティングオール
- スターティングクランプ
- ニッパー
- ラジオペンチ
- 目打ち
などがあり、特にスターティングクランプやセッティングオールは個別購入する場合、意外と値が張ります。
極力標準で備品が付属している方が良いでしょう。キャンペーンなどでスターティングクランプがついてくる場合も多いので、ここら辺も購入前に見定めておきましょう。
おススメのストリングマシン
これまで紹介した条件を満たす機種を何点かご紹介します。予算毎にご参考にしてください。
上位機種 100万円前後
100万レベルの機種となるとなかなか手が出せませんが、ホームストリンガーでもこのクラスの機種を使っている方もいます。このクラスはプロストリンガーも使う機種となります。
https://blog.goo.ne.jp/malibusky/e/849d5b74e1a9415f8fbaa9cb9a964747
中位機種 50万円前後
良いストリンギングをするため、長く使うことを考慮するならば、頑張ってこのクラスまで検討する価値は十分あります。信頼できるストリングメーカーの機種であれば安心です。
アプローチのマシンは台湾製のようですが、仕様的には十分条件を満たしています。
低価格帯 30万円以内
私が所有するスピンジャパンの30万円クラスであれば条件にも合致します。ちなみにスピンジャパンは台湾のXpider社が製造している品とのことです。
50万円前後の中位機種と比較すると、クランプやクランプベースの仕様など、細かい部分にややチープ感が出てきますが、価格的にやむを得ないところです。
トアルソンの低価格帯になると、横引きではなく回転式グリッパーになってしまいます…。
※残念ながら、2023年にオーナー社長の菅さんが亡くなり、スピンジャパンは閉業してしまいました。
さいごに
私もいつか条件を満たす中位機種に買いなおしたいと考えています。