日本市場では多くのオーバーグリップテープが売られています。
外国ではドライグリップが当たり前のようですが、楽天やAmazonなどの売れ筋ランキングを見ると一目瞭然、日本ではウェットグリップが圧倒的に売れています。国民性の違いなのか、欧米人と比べて体温が低い日本人は汗をかきにくいからウェットが好きなのか、いろいろ想像はしますが明確な理由は分かりません。
ただしウェットグリップのベタっとした感触が好みでない人もいるため、ドライのニーズもかなりあると思うのですが、残念ながらメジャーになりきれないドライグリップ。
私はウェットグリップも使いますがドライグリップも大好きで、特に最近は理想のドライを求めて終わりなき旅を続けています。
ドライとウェットの違い
実はドライグリップもウェットグリップも素材はほぼ同じで、ベース地は不織布でポリウレタンを塗布・浸透させかつスポンジ状に発泡させています。ウレタンゴムとも言われるポリウレタンが、グリップ力を発揮しているのです。その他にも特性を向上させるための添加剤などを配合しているようです。
ドライグリップ
素材は不織布、発泡ポリウレタン、その他添加剤など。
ドライは多孔質なやや荒れた表面処理のためサラっとした触り心地に感じます。ウェットと比べるとグリップ力が弱く滑りやすいと感じる人もいるようです。
ウェットグリップ
素材はドライと同様です。
ウェットは非常に滑らかな表面で、ポリウレタンの粘着力を感じるモチっとした触り心地であったり、なかにはベタっとした触り心地のものもあります。ドライと比べると引っ掛かりが強すぎてグリップチェンジがしにくいと感じる人もいるようです。
ドライとウェットの違いは表面処理の違いです。
ドライグリップのメリットは?
手汗かきにはドライグリップがおススメ!?
という意見をよく聞きますが、私はその意見は半分は合っていて半分誤っていると考えています。
上述した通り、ドライもウェットも素材そのものは同じです。ドライ・ウェットの違いによるのではなく、グリップそのものの厚み(発泡ポリウレタンの厚みと不織布の厚み)によって汗を吸湿できる量が決まってくるはずです。
そして、もうひとつ考えるべきは、汗を吸って濡れた時の表面のグリップ力への影響です。
濡れた時のグリップ力は??
表面がツルツルのタイルとマットなタイル、それぞれが濡れた時にどちらが滑りやすいか考えていただくと分かるように、やはり表面が滑らかなウェットグリップの方が摩擦が少ない分滑りやすくなると感じる人が多いでしょう。
まとめると、
グリップテープ:汗に対する滑りやすさの影響因子
- グリップテープの厚み(発泡ポリウレタンの厚み・不織布の厚み)=厚手は滑りにくい
- グリップ表面の摩擦抵抗の大きさ=ドライの方が滑りにくい
長年グリップテープを追求してきた私の実感として、これは正しいと思っています。
厚手のドライグリップが最も手汗に(よる滑りやすさに)強い!
その他、ポリウレタンの質、発泡技術、配合添加剤などによって当然グリップテープの出来は異なってくるので、その影響も考える必要があります。この辺りの見極めは素人には困難なので、最終的には使ってみないと分からないというのが実際です。
ドライグリップの世界標準『トーナグリップ』について
グランドスラム14勝のあのピート・サンプラスが愛用し続け、世界で最も有名なドライグリップと言っても過言ではない『トーナグリップ』。
現在でもディミトロフ、ガスケ、イズナー、ティーム、アンダーソン、プリスコバなど、トッププロ達が愛用しています。
製品プロフィール
(現在主流のやや幅広のXLタイプを紹介)
メーカー | UNIQUE(日本の代理店はキモニー) |
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製品名 | トーナグリップドライXL(TOURNA GRIP DRY XL) |
サイズ | 厚さ0.5mm×幅29mm×長さ99cm |
カラー | ブルー(エンドテープ:レッド) |
素材 | ポリウレタン、不織布 |
構造・特徴 | キングオブドライグリップ。唯一無二の快適な握り心地のドライ。耐久性以外に欠点がないと言われる |
製造国 | MADE IN USA |
定価 | 3本入り:¥900+税 30本入り:¥9,000+税 |
メーカーうたい文句 | 世界のトッププロが使用するドライタイプのグリップテープ。大量の汗を吸収してもぬめりが出ません。 |
トーナグリップの特徴
私はウン十年前からトーナの使用経験がありますが、耐久性の低さから最近はあまり使用していませんでした。しかしながらトーナはこれだけのロングセラーなわけですから、その理由を確認すべく、購入して再評価してみました。
- サラッとしつつもグリップ力がある
- 薄めにもかかわらず汗で濡れた場合のグリップ力維持に優れる
- 薄めのため元グリップのダイレクトな感触を感じることができる(レザーグリップとの相性が良い)
- プロも使用しているという満足感
- 青いグリップに赤いテープが単純に格好良い
- 流通量が多くどこででも買いやすい
- やや価格は高め
- 巻き始めの斜めカットがされていない
- 長さが短め
- 相対的に耐久性は低い
- エンドテープに切れ込みがないので剥がしにくい
上記特徴にまとめられると思います。
私の中では厚手ドライが一番汗に強いと結論づけてはいますが、トーナは薄めであるのに汗に強いという点において優秀です。
一方で汗に比較的強いとはいえ、トーナでも多量の汗をかいた場合には限界があります。薄いトーナグリップは、汗を保持する能力が決して高いわけではないのです。
あとは注意点として、
巻き始めの斜めカットがされていないので、この部分にこだわる人は自宅で巻き替えるか、ハサミを常備して対応するしかありません。ちなみに私はいつも四角い方のサイドから巻き始めるため、斜めカットの有無は気にしていません。
エンドテープの剥がしにくさは欠点だと思います。
また、長さが短いため通常サイズでは最後まで巻き切ることは難しいでしょう。最近の主流はXLサイズで、レギュラーサイズと長さは同じながら幅が太くなります。通常の長さのグリップに対してXLで何とか巻ききれました。
トーナグリップの耐久性は?
1時間で表面が削れていた以前の印象とは異なり、
3時間使用しても表面があまり削れていない!
以前より耐久性がアップした!?
トーナと同様の質感を追求し耐久性を高めた、というのが売りであるタフドライと比較しましたが、冬季に3時間使用した時点ではあまり差がありませんでした。1試合目の途中で巻き替えなければならない、ということはなさそうです。
ただし、トーナはその後に突然摩耗が進むタイミングがあって、やはり長持ちするグリップテープではありません。季節によって汗の量が変わり、耐久性が変化する可能性も理解しておく必要があります。
最後に/まとめ
グリップテープはドライ・ウェットそれぞれに良さがあり、どちらが優れているとは一概には言えません。汗に対する強さや滑りにくさもウェットが全くダメなわけではありませんが、ドライの質感の方がメリットを感じる人が多いのは確かです。
ただドライでも汗を大量に吸えば滑りますし、汗を大量に吸って乾いたグリップテープはどんどんグリップ力が低下します。また汗だけでなく皮脂の影響もあり、まだ削れていなくてもグリップ性能はどんどん落ちることは間違いありません。
見た目だけでなく、グリップ力の低下を感じた時がグリップテープの替え時と言えるでしょう。週2スクールプレイヤーの私でも、グリップは5~6回程度で交換してきました。
そう考えてみると、耐久性が向上した(?)トーナグリップなら今後も十分使っていけそうです。