振動止めをつけていますか?
世にはおびただしい種類のストリング用振動止め(ダンパー)が売られていますが、何をどう選んだら良いのか、プロでもつけている人つけていない人がいるし、そもそも振動止めは必要なものなのか?一度立ち止まってその意味を考えてみませんか?
最初に結論を言いますと、
「つけるもつけないも、アナタの好みで選べばよい」「あなたの好みが正解」
です。
この記事では、その結論にいたる理由を紹介していきます。
振動止めをなぜ使う?
私も昔は振動止めを使っていました。その当時はあまり突き詰めて考えてはいなかったのが正直なところですが、しいてあげれば次のような理由で使っていました。
- 正直なんとなく(瞬時に説明できるほどの合理的理由はない)
- ケガ予防目的(手への振動・衝撃の緩和ができる?)
- 飛びの抑制(飛びが抑えられ?)
- ファッションとして(憧れのプロと同じタイプなど)
- 打球音(鈍い打球音を気に入っている)
いかがでしょうか?いま振動止めを使っている方は、いずれかの同じような使用理由が当てはまるのではないでしょうか?
振動止めの実際の効果は?
振動止めは手に伝わる振動には無関係/ケガ予防効果はない
テニスギア研究で有名な埼玉工業大学元教授 川副先生の研究内容を見ると理解できますが、そもそもストリング面に生じた振動は、グリップにはほとんど伝わりません。
ですので、ストリング面につける『振動止め』は、手に伝わる振動を軽減するという効果はありません。振動止めをつけてもつけなくても、手にはストリングの振動は伝わらないのです。
振動止めをつけてもケガを予防する効果はない、というのはこのことからご理解いただけると思います。
振動止めで変わるのは弦楽器としてのストリング性能のみ
川副先生によると、ストリングの性能は主に2種類に分けられると解説されますが、
- 弦楽器としての性能=音・振動・心理面・打球感
- 武器としての性能=反発性・打球速度
現実的に、振動止めが影響を与えるのは❶の弦楽器としての性能のみです。
打球音は鈍くなり、音が響きにくくなり、主観的にストリング面で振動が少なくなったように感じるでしょう。
弾けるような高い打球音がなくなったせいで、飛びが抑制されたように感じる人もいるかもしれません。飛びが抑制され、コントロールが良くなったように感じ、安心してプレーできる人もいるかもしれません(実際の飛距離は変わりません)。
このような弦楽器としての「音・振動・心理面・打球感」の変化は全く軽視すべきものではなくて、むしろ弦楽器としての性能変化がマッチするのであれば、十分振動止めをつけるべき理由になると思います。
なお、あくまでも私の場合ですが、
- ストリング本来の爽快に響く打球音が好きなこと
- 振動止めで打球情報が減るような気がすること
- ストリングの音の変化、テンションの変化を出来るだけ敏感に感じ取りたいこと
- 極力余計なものをつけたくないこと
を理由に振動止めはつけていません。
ちなみに、ストリングの武器としての性能(反発性・打球速度)はストリングの種類(ナチュラル・ナイロン・ポリエステル)や張上げテンションにすら影響を受けないので、ましてや振動止めの有無は無視できるレベルでしょう。
振動止めの重さには注意が必要
ひとつだけ留意しなければならないのは、振動止めはそれなりに重量がある、ということです。
振動止めは2gくらいのものから、重ければ7gほどにもなります。振動止めひとつでも、ラケットの重量やバランスをそれなりに変えてしまいます。
もしラケットスペックににこだわる方であれば、自分の使う振動止めの重さとバランスの変化は十分把握しておきたいところです。
振動止めには純粋に楽しめる要素がある!!
振動止めはまた、テニスのファッション、アクセサリーグッズとして楽しめるという要素もあります。
実際に私も、サンプラスの使っていたドーナツタイプの振動止めや、アガシの使っていた輪ゴムタイプの気休めダンパーを使って、気分を楽しんだりもしていました。
今では、つけているだけで気分が上がりそうな、アニメキャラなどの可愛いものから、プロ選手と同じモデルなど、数多くの振動止めが売られています。
せっかくなら、自分の気に入った振動止めを見つけて楽しい気分でプレーをする、というのも良いですよね!
まとめ
振動止めは科学的に考えて、ケガ予防効果は期待できませんし、武器としてのストリング性能には影響がありません。
一方で、ストリングの弦楽器としての性能には影響を与えるため、振動止めをつけたことによる打球音の変化や心理面の変化が良い方に働くとすれば、積極的に取り入れる理由になりえます。
デザイン性の良い振動止めや憧れの選手と同じものをつければ、楽しくプレーをすることにもつながるため、重要なテニスグッズであることは間違いありません。