ベテランにもマッチしそうなポリ系のストリング探しシリーズ。
今回は、1994年に誕生後、クエルテンの活躍で一躍メジャーとなったストリング『ルキシロン アルパワー』です。発売からすでに30年近く経過してなお大人気商品の、アルパワーの秘密が知りたくなりました。
ルキシロン アルパワーは、しっかり目の打感でありつつ不快な硬質感はない。パワーロスが少ない快適な反発感。スピンコントロール性も良く、大人気の理由が理解できました。
特に「逃げずにちゃんと振る」時に爽快なパワーを感じられるポリストリングでした。
ルキシロン アルパワー(LUXILON ALU POWER)の特徴・スペック
まずは製品のプロフィールです。
メーカー | ルキシロン(LUXILON) |
製品名 | アルパワー(ALU POWER) |
ゲージ | 1.15mm、1.20mm、1.25mm 、1.28mm(128 ROLAND GARROS)、1.30mm |
カラー | シルバー、アイスブルー(125、130)、レッドクレー(128のみ) |
素材 | ポリ・エーテル・エーテル+アルミ・ファイバー |
生産 | MADE IN BELGIUM |
価格情報 | 12m:¥ 3,190 (税込) 220mリール:オープンプライス 最安価格12mカット品1,660円(価格+送料)、220m:18,390円 送料無料~ ※2022.2.12楽天調べ |
商品説明 | [POWER + SPEED]発売開始から最も多くのツアープレイヤーに支持され続けるストリング。 これぞパワーとスピードを司る史上最強モデル。 グリゴール・ディミトロフ、ガエル・モンフィス、ペトラ・クビトバなどが使用。 |
ルキシロンのポリに使われる、ポリ・エーテル・エーテル=PEEKとは、「スーパーエンジニアリングプラスチック」と言われる強靭で高級な素材とのこと。ルキシロンのポリは高価格ですが、おそらくこの高級な素材を使っているためと考えられます。
PEEKにさらにアルミファイバーを加えることで独特のパワーあるショットが可能に、というのがメーカー側の説明のようですね。アルミファイバーの実際の意味合いについては、もう少し詳しく知りたいですが、詳細情報は見つかっていません。
ルキシロン アルパワー1.25mm(LUXILON ALU POWER)のインプレ
【セッティング】
BABOLAT PURE STRIKE 100(16×19)
47ポンド、プレストレッチ5%、1本張り(ゴーセン張り)
4回にわたって延べ5時間打ちました。
★点数
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感硬さ |
総評:快適な弾きの良い硬質感、性能維持が悪いわけではない
張りたての、たわみ量が少なく面でしっかり飛ばしてくれるような、爽快な反発感が印象的です。打ち心地としては硬めですが、カンカンとした嫌な硬さではなく、「打ち応えが強め!」という表現が当てはまります。
ガツっと捉えてパンと飛ばす、飛びの良いポリエステルといった印象です。しっかり振ることをストリングが要求してくるような、そんな感覚もありました。
第2世代ポリエステルであるアルパワーは、「テンション維持性能が悪い」というイメージが浸透しているのですが、それは真実でしょうか?ポリエステルのテンション維持性能は多少の差があるものの劇的な差はない、というのが約30本を経験しての私の実感です。アルパワーのテンション維持性能の詳細は後述します。
個人的には、アルパワーの爽快さがかなり気に入りました。
ストリングの感触詳細を、以下報告していきます。
打感(反発・ホールド)
ポリ系ストリングの硬さを5段階(5が最大硬度)で表すと、アルパワーは4程度のしっかりした打感。ただしカンカンとした衝撃の強い感じではなく、面でしっかり捉えてから放ってくれる「ガツっと捉えてパンと飛ばす」爽快な反発感です。
ほぼすべてのポリエステルに言えることですが、打っているうちに5ポンド程度はあっという間にテンションが低下します。アルパワーはこの段階に入ってくると、かなりマイルドなホールド感を感じやすくなります。一方で、しっかり捉える硬質感も残るので、この「5ポンド低下」した状態の打感を好む人もいるかも知れません。私は嫌いじゃないです。
サーブ、ストローク、ボレーといった各種ショットで、特に苦手を感じることはありませんでした。
打ち応え強めで、爽快な反発、テンションが落ちてくるとまた味わいが出てくる、そんなポリストリングです。
スピン性能
ストリング表面の滑りが良く、スナップバックが良く効いてくれるため、スピン性能も良好です。
5時間程度打っても糸の戻りは維持されてて、この点も好印象でした。これはアルミファイバーのおかげか?
丸形断面のポリのため、過剰なスピン性能ではありませんが、いやいやこれだけかかってくれるなら文句はないでしょう。
テンション維持性能
ポリとしてはテンション維持性能はノーマルなレベル
47ポンドで張り上げ、張り上がりの面圧は48.8ポンド。面圧の出方はポリとしては平均的なレベル。
張った当日に1.5時間使用し3.8ポンドのテンションロス、3日後さらに1.5時間使用し5.6ポンド低下、10日後までに5時間使用して6.4ポンド低下。その後、28日目まで観察しましたが、ポリとしてはノーマルレベルのテンション維持性能です。
- 張り上げ直後 48.8ポンド
- 張り上げ当日 1.5時間使用後 45ポンド ▲3.8ポンド ▲7.8%
- 張り上げ3日後 延べ3時間使用後 43.2ポンド ▲5.6ポンド ▲11.5%
- 張り上げ7日後 延べ4時間使用後 42.9ポンド ▲5.9ポンド ▲12.1%
- 張り上げ10日後 延べ5時間使用後 42.4ポンド ▲6.4ポンド ▲13.1%
- 張り上げ14日後 延べ6.5時間使用後 42.4ポンド 下げ止まり??
- 張り上げ28日後 延べ8時間使用後 41.5ポンド ▲7.3ポンド ▲15%
主要なポリエステルストリングとの比較は遜色なし!!
今まで経験した主要なポリエステルストリングとアルパワーのテンションロスの比較をしてみました。
下のグラフは経時的な変化だけで追っていて、使用時間は入れていませんが、私のプレー頻度(週2、3回)に大きな差はほぼ生まれないため、十分参考にしてもらえるはずです。
この検証の結論としては、
「アルパワーはテンション維持性能が特別に悪い訳ではない」ということが言えると思います。
一方で、ポリツアープロやG-TOUR3といったソフトモッチリ系のポリは、テンション維持性能がやや低い傾向でした。
コスト
2022年2月12日時点で、最安価格は、12mカット品1,660円(価格+送料)、200m:18,390円 送料無料~です。
ルキシロンは、トッププロの使用実績によってブランド力が維持されていて、カット品ですら価格は高止まり状態です。アルパワーは確かに魅力的なストリングですが、他にも素晴らしいポリストリングが沢山あることを考えると、もう少し安くなるべき!というのがユーザーの本音です。
ホームストリンガー視点での感想
丸形断面で滑りが良く、とても張りやすい1本でした。
インプレまとめ
ルキシロン アルパワー(LUXILON ALU POWER)は、しっかり目の打ち応えでありつつ不快な硬質感はない。スピン性能も良好で、パワーロスが少ない爽快なポリストリングでした。
そして、テンション維持性能は平均的なポリレベルでした!
推奨プレイヤーをまとめます。
- しっかり振っていける、スイングスピードのある人
- テンションロスした状態で使う期間が長い人(切れにくい人)であれば、ユーザー範囲はかなり広い
- プレースタイルはオールラウンドに対応可能
- 威張りのきくプロ使用モデルにこだわりたい!
- コストはさほど気にしない