新型コロナウイルス感染症の影響で、テニス環境が失われつつあります。
いつかまた自由に気兼ねなくテニスが出来る時が戻ることを心から祈り、今すべきことをやるしかありません。テニスができることは当たり前でないのだと肝に銘じます。
せめて頭の中だけでは大好きなテニスのことを考えていたいため、当ブログは継続していきたいと思います。
さて先日から、”XR3を基準としたマルチフィラメント”という視点を盛り込み、マルチのインプレを始めました。
現在のテニス環境上しばらくは停滞しそうですが、1本目の途中段階までをアップしたいと思います。最初の1本は『バボラ エクセル』です。
マイルドさ、ホールド感が特徴のマルチらしいストリングでした!
バボラ エクセルのスペック
人気マルチストリングのエクセルです。今回はXR3・125の比較用として、ゲージは1.25mmを選びました。
メーカーサイトや各インプレサイトの評価では、独特の柔らかさ、ナチュラルに近い(?)、テンション維持性能が売りなようです。
メーカー | バボラ(Babolat) |
---|---|
製品名 | エクセル(Xcel) |
ゲージ | 1.25mm、1.30mm、1.35mm |
カラー | ナチュラル、ブルー |
素材 | ナイロン、ポリウレタン |
構造・特徴 | 細かめのマルチ繊維を撚らずに成型し、ポリウレタンも配合している。エアジェットテクノロジーは性能維持期間が良いらしいが、エアジェットテクノロジーの詳細は不明… |
製造国 | フランス |
定価 | 12m:2900円+税、200m:3800円+税 |
メーカーうたい文句 | ナチュラルの良さを再現しながら耐久性を向上。やわらかな打球感を極め、多くのファンを獲得したベストセラーストリング。 |
エクセルのインプレ
51ポンド、1本張りで張り上げました。
さて、スクール3コマ、延べ4時間打った上でのインプレを紹介します。最初に☆点数です。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
このように感じました。
XR3の評価は次の通りです。
反発感 | |
ホールド感 | |
スピン性能 | |
テンション維持 | |
耐久性(切断耐久性) | |
コスト(市価) | |
総合点 | |
打感の硬さ |
続いてエクセルの各性能についてと、XR3との勝敗も示していきます。
反発感
ナイロンとしては平均的な反発性能です。
シャープさはあまり感じません。イメージとしては包み込んで放り出すような飛ばし方だと感じます。
決して飛ばすパワーがないわけではないが、心地よいシャープな弾き感はやや不足しています。
ホールド感
上記した通り、エクセルは包み込むようなソフトさ、ホールド性を感じます。
ただ、人によってはボヤケた打感と捉える方もいそう。ボヤけた打感と言えば、昔の廃版となったTOALSON バイオロジック128がその代表格で、ややもっさりとしたグシャッとした柔らかさでした。
エクセルはそこまでではありません。(※バイオロジックは表面コーティングを見直し、スピン性能を強化した新生バイオロジックXXとして生まれ変わったようです!いつかインプレします!)
エクセルは、どちらかと言えば適度で心地よいホールド力と言ってよいのではないでしょうか。
スピン性能
このストリング、コーティングが柔らかく引っ掛かりが強いためか、ズレたあとにとにかく戻りにくい(-_-;) スナップバックは期待できません。
スナップバックが少ないとスピンがかかりにくいのが常識なのですが、不思議とスピン性能はそこまで悪いと感じない。マルチの割には平均的なスピン性能と言えるでしょうか。
以前の記事で書いたプロストリンガー澁谷さんの見解で、スピンの掛け方には
- スナップバックを効かせるタイプ
- 面でカシュっとこすり上げるタイプ
の二通りがあることを踏まえると、後者に近い私はエクセルのスピン性能にさほど違和感がなかったのかも知れません。おそらくスナップバックで強烈スピンをかける方であれば不満を感じるレベルでしょう。
テンション維持性能
メーカーのうたい文句ではテンション維持性能が売りとのことでした。しかしながら検証では、初期のテンション低下がかなり大きい結果でした。
まず、51ポンドで張り上げた割にテンションが56ポンド近くまで高くなったことに驚きました。XR3だと張り上げテンションは53-54程度です。この理由は明確ではありません。
エクセルは張り上げ直後とヒッティング初日のテンション低下が大きく、二日目のテンション低下は少なくなりました。今後、経時的な変化、ヒッティングを繰り返した際の変化をもう少し追っていきたいと思います。
2020.5.2追記
さてXcelを張り上げて約1ヵ月が経過しました。実際にコートで練習できたのは4時間、その後数時間はキモニーの練習機相手にヒッティングしました。累積使用時間が7時間を超えた時点でのテンション維持性は以下グラフの通りです。
2020.5.30追記
Xcel張り上げ後ほぼ2ケ月経過。緊急事態宣言によりコートでテニスができない2ケ月間となってしまいましたので、”使用しながらのテンション維持性能”は正しく評価できませんでした。
ちなみに2か月後のテンションは46.1ポンド。張り上げ直後と比較して、18%テンションロスしました。2ケ月未満で賞味期限は切れました。
耐久性(切断耐久性)
ヒッティング開始4時間後にはコーティングに割れ、毛羽立ちが生じ始めています。XR3よりはまだましか?しかし、もう少し使うと急激に毛羽立ちそうな雰囲気でもあります。
2020.5.30追記
上述の通り、”使用しながらの切断耐久性の評価”もしきれませんでした。すでにストリングはところどころ毛羽立っていて、テンションも大きくロス。ゴム紐練習機で打つのでさえ快適さを失っているため、評価はここで終了します。
コスト
2020年4月時点で、コストはXR3より定価、流通価格ともに高いようです。
ホームストリンガー視点での感想
繰り返しですが、普段通りの方法で張り上げているにも関わらず、指定テンションよりも張り上げテンションがかなり大きくなったことに本当に驚きました。張り上げ直後のテンション落ちが少ないのか、伸びにくい特性なのか。
マルチストリングの宿命で、クランプ箇所などが白く潰れますのでその点はやはり気を使います。ただマルチの中では特段クランプが滑りやすいワケではなく、ストリング自体の柔らかさのおかげで比較的張り上げやすいストリングです。
XR3と比較して
この検証はXR3を基準に採点をしていて、
- XR3のコストとそん色ないこと
- XR3の打感に劣らないこと
- XR3の耐久性を超えること
そのような条件のストリングを探す検証です。
評価項目 | 勝 者 | コメント |
反発感 | XR3 | 心地良い弾きの良さはXR3 |
ホールド感 | Xcel | 断然ホールド感あり |
スピン性能 | XR3 | 表面の滑りの点でXR3に軍配 |
テンション維持 | XR3 | Xcelは2か月で約20%低下し賞味期限切れ |
切断耐久性 | 引分け | 毛羽立ちは双方ともに早い |
コスト | XR3 | 定価、流通価格ともにXcelは高い |
エクセルは残念ながら耐久性以外はクリアしておらず、XR3の代替候補とはなりませんでした。
インプレまとめ
XR3には勝てませんでしたが決して悪いストリングではありません。
最後に各性能を元に、推奨プレイヤーをイメージして終わりにします。
- 柔らかいホールドする打感が好みの人
- フラットドライブ系
- スナップバックではなくナチュラルスピンを掛けるタイプ
- タッチプレイヤー