ATP/WTAのトップ100に最も選ばれているラケットシリーズ『WILSON BLADE』、そのメイン機種といえるBLADE 98 V9 16/19を入手しましたので、今回はそのインプレを紹介します。
ウイルソン ブレード98 16×19 V9製品プロフィール
スペック・製品情報
最初にカタログスペックの紹介です。
ウイルソン ブレード98 16×19 V9 | |
フェイスサイズ | 98inch2 |
平均ウェイト | 305g |
バランス | 320mm |
全長 | 685mm(27inch) |
フレーム厚 | 21mmフラットビーム |
RA値 | 62 ※テニスウェアハウス参照 |
素材 | BLX+ブレイディッド・グラファイト |
グリップ | PRO PERFORMANCE、サイズ2、3、4 |
ストリングパターン | 16×19 |
推奨テンション | 50-60p |
メーカー希望小売価格 | ¥39,600 (税込) |
発売 | 2024年2月 |
生産国 | 中国製 |
メーカー製品説明 | 商品説明 ATP/WTAツアーで最も多くの選手に選ばれているBLADEシリーズの第9世代。安定性とパワー・コントロール性能を向上するために、カーボンテクノロジー”STABLE FEEL”を新たに考案。 この”STABLE FEEL”を採用することで、繊細な感覚を持つトップ選手が求めるBLADE独特のしなりと柔らかな打感を維持することを実現。 |
インプレ・レビュー
デザイン
BLADE V9シリーズ共通の新たなコスメ、つや消しエメラルドグリーンの塗装は非常に美しく、老若男女使い手を選ばないデザインです。
グロメットの蛍光グリーンパーツや、スロート部の赤いWロゴなど、さり気ない差し色が良いアクセントとなっていて、さすがウイルソン!と思わされるデザイン完成度です。
試打インプレ
私は比較的硬めで飛び過ぎないラケットを好んで愛用していますので、そのような者が語るインプレとしてご理解ください。
【セッティング】
SIGNUMPRO FIRESTORM 1.25mm 49ポンド プレストレッチ5% 1本張り
フレックス(フレーム硬さ)
フレックスはテニスウェアハウスの参考値では『62』で、平均~やや柔らかいフレームの位置づけになります。ブレード100はRA60、98はRA62と2ポイント高い設定で、実際にブレード98の方が剛性感が高く感じられました。
※RA値はあくまでラケットのしなりレベルを示すものであり、実際打ってみての硬い柔らかいという体感とは一致しないケースも少なくない。
私は以前ブレードV6を打った際、そのしなり感の強さが苦手と感じてしまったため、それ以来ブレードシリーズを避けてきました。しかし、今回のV9では「しなり感の強いブレード」という印象より、「しっかりしたフレーム」という印象に変わりました。
打感:振って当ててちょうど気持ち良い/フェイストップが最上の打ち心地/オフセンターでは硬い!
打感としては、ブレード100と共通する部分が多くあります。
- 振ってなんぼのラケット
- フェイストップで厚く打てば持ち味が出しやすい
- オフセンターに当たると硬質感を感じやすい
ブレード100との大きな違いはフェイス形状の違い。下の写真の通り、顔つきは全然違います。
個人的な見解ですが、逆卵型のフェイスの方がフレームが強くブレが少ない、丸形はややぼんやりとした打感になる印象を持っています。また、逆卵型の方が振り抜きが良い印象もあります。
今回、ブレード100と比較して、実際に98の方がフレームのブレが少なく、スッキリとスイングできる気がしました。
ブレード98は21mmのフレーム厚(ブレード100は22mm厚)ということもあり、決してサポートの大きいフレームではありません。「もっと振っていっていいよ!」とラケットに言われているような感じがします。しっかりと厚く、スイングスピードを上げて打ちたくなります。
そしてしっかり打てると本当に心地よい!プロスタッフ以上に余計なサポートを足さず、自分のやったことが反映されるラケットで、「意思疎通できる」感覚です。最適ヒッティングポイントはフェイストップ寄りで、しっかりと振ってフェイストップでぶっ飛ばす、こんな使い方が良さそう。
軌道は低めで、普段通りのスイングだと低くまっすぐ飛んでいきます。弾道の高さはピュアストライク100>プロスタッフX>ブレード98です。この点はユーザーニーズによって、メリットにもデメリットにもなりうる部分と思います。
自分にマッチしたショットは、リターン(普段やや吹かしやすいがブレードでは低弾道で飛んでくれる)、サーブ&スマッシュ(思い通りの回転量とスピードが実現される感覚)、スライス・ボレー(スライス回転が低く滑ってくれる)でした。
デメリットは、オフセンターで打つ=芯を外すと硬質感、衝撃感が強い点です。
スピン性能
低弾道・コントロール系の薄ラケのため、スピン性能は控えめです。
厚く当ててスピンをかけていく、そんな意識改革にはつながるかも知れません。
搭載テクノロジー
BLADE100に搭載されているテクノロジーを紹介します。
CLICK &GO B&G
今作から導入されたグロメットで、要はバンパーやグロメットの取り外しがしやすいようにパーツ分けがされている構造です。
新たに開発されたグロメット構造
柔らかい打感を実現する素材を採用
誰でも簡単に取り外しが可能に
ウイルソン公式サイト商品ページより
X-LOOP
BLADE特有の、フェイスとスロートの外側・内側のフレーム形状が入れ替わる構造のことです。
フープの外側は丸みを帯び、内側は平らになったフレームの形状 と、スロートは外側が平らに、内側は丸みを帯びた形状にするこ とでスロートに部分にかけ、あえて“ねじられた形状”を採用。こ れにより、フレームが内側にひねるようにしなることでパワーを 蓄積し、内側に溜め込んだパワーを一気に開放すことによって ボールを飛ばす力に変えることを実現。
ウイルソン公式サイト商品ページより
BRAIDED GRAPHITE + BASALT
ウイルソン独自のカーボン構造を採用。これにより、より高いホールド感(ポケットフィーリング)やクリアな打感を叶え、あ らゆる状況でも最高のパフォーマンスを発揮する。
ウイルソン公式サイト商品ページより
PARALLEL DRILLING
ストリングが引っ張られるのと同じ方向にストリングホールを空ける「パラレル・ドリル」。その結果、ストリングがフレームに接する部分が外側に移動。そのフレーム厚の分ストリングの可動域が広くなり、スイートスポットの拡大とパワーアップを実現。
ウイルソン公式サイト商品ページより
DIRECTCONNECT
エンドキャップがハンドルのカーボンと直接繋っている事により、打球の感覚がより手元に伝わり易くなると同時に、ねじれに対する安定性がUP。
ウイルソン公式サイト商品ページより
ウイルソン ブレード98 16×19 V9 インプレまとめ
ウイルソン ブレード98 V9 16/19は、決して簡単ではない、ブレが少ない高剛性のラケットです。
フレーム自体は柔軟性があってホールドも感じられますが、オフセンターでヒッティングするとかなり硬く感じます。
私が普段使っているプロスタッフXやピュアストライク100といった『コントロール系ラケット』と比較し、最も特徴的なのはその弾道の低さで、普段通りのスイングだとボールが低くまっすぐ飛んでいく、スピンが抑えめになります。
しっかり振っていける人はブレードの良さを引き出しやすいでしょうし、また低弾道ショットを極めているフラット系、スライス系の人にも試していただく価値は十分あるだろうと思います。
- 柔軟性・ホールド感はあるがブレが少ない
- オフセンターヒット時に硬質感がある
- フェイストップで打つべきラケット
- 使い手の技量を試される上級ラケット/正しいヒッティングポイント、スイングスピードが要求される
- 低弾道が特徴/フラット系、スライス系ショットにマッチ
- デザイン偏差値が高い
※当記事はテニスショップ東京浅草様とタイアップしています。