ポリ系ストリングはテンション維持が悪いため、伸び防止の意味でストリンギングの際にプレストレッチをかけることは、かなり一般的な認識だと思います。私もポリ系ストリングは、5-10%のプレストレッチをかけて張っています。
一方で、あえてプレストレッチをかけないという考え方もあります。
本当にプレストレッチって必要なんだろうか?!
ふと思い立ち、プレストレッチ有無による性能差を検証してみました。
プレストレッチの効果「一般的な認識」
プレストレッチは、一般的に次のような効果を期待して行われます。
- テンション維持性能を良くする
- 張上げ後の打感の変化を少なくする
一方、次のようなデメリットがある(と考えられる)ため、プレストレッチを行わないケースもあります。
- 硬めの打感になる
- ストリングの伸縮性能を下げる
- 飛びが悪くなるように感じる
プレストレッチの有無による違い・変化を検証
【セッティング】
ラケット:プリンス TOUR O3 100(16×19)
ストリング:シグナムプロファイヤーストーム120
テンション:48ポンド
プレストレッチ:0%と10%で比較
張り上がりテンション
プレストレッチ0%と10%では、張り上がりテンションに1.7ポンドの差が出ました。やはり余計に引く分、プレストレッチをかけた方が硬めに張り上がることは想定通りでした。
テンションの経時的変化
想像では、プレストレッチをかけた方が、テンション低下が緩やかと考えていましたが、実際はほとんど差がみられない結果でした。2週間の観察でも、その傾向は変わりませんでした。
尚、今回はかなりまめにテンションを見ていきましたが、張り上げの30分後にはそれぞれ1.5ポンド以上低下していて、「ポリエステルは張った直後からどんどん伸びていく」ことも改めて確認できました。
また、「テンション維持率」で見ても、ほとんどカーブは重なっています。この2週間の観察では「プレストレッチによるテンション維持効果はほとんどない」という結果が示されました。
打感の違い(主観評価)
これは張り上がりテンションの差に起因するものだと思いますが、10%プレストレッチの方が、打球音は高く、硬い打感、ボールをしばける安心感がありました。0%の方が、打球音は低めでホールド感のある打ち心地に感じました。
ただしこれは、ガットを硬めに張った際・緩めに張った際の感想と同じ類のもので、プレストレッチによる効果は「張り上がりの硬さによる影響」の域を超えないと思いました。
まとめ『プレストレッチに意味はある!?』
今回は、以下の限られた条件下での検証でしたが、プレストレッチには期待していた程の大きな効果はなく、「張り上がりテンションに影響がある」以上の効果は見つかりませんでした。
- 観察期間2週間
- 検証ストリングは1種類
- 検証プレストレッチ値は0%と10%のみ
一方、非常に伸びやすいポリ系ストリング(ポリファイバーTCS、ブラックヴェノム等)であれば、プレストレッチによってテンション維持が保たれる可能性もあります。またプレストレッチを20%程度にした場合どうなるかなど、まだ余地が残ります。
「異なる種類のポリ系ストリング」
「プレストレッチ程度による影響」
は今後の検証課題にしたいと思います。