先日参加したNewツアーシリーズの試打会で、一番気に入ったのが『ツアーO3 100(305g)』。その衝動が抑えられず、入手してしまいました。テニス人生は一度きりなので、やむを得ません。
私にとっては初めてのO3ラケットでしたが、とても気に入ってしまいました。今まで食わず嫌いしてきたことが後悔されます。
「ものすごく出来の良い、守備範囲の広いラケット」というのが私の実感です。
プリンス ツアーO3 100の製品プロフィール
スペック・製品情報
カタログスペックの紹介です。
プリンス ツアーO3 100(305g)(2023年モデル) | |
フェイスサイズ | 100inch2 |
平均ウェイト | 305g(290gもラインアップ) |
バランス | 310mm |
全長 | 27inch |
スイングウェイト | 285 |
フレーム厚 | 22-23-20mm |
パワーレベル | 870(プリンス独自のフレームパワーレベル値) |
素材 | 高弾性カーボン+テキストリーム×トワロン+高分子エラストマー |
グリップ | RESI TEX PRO(ブラック)、サイズ2、3 |
ストリングパターン | 16×19 |
推奨テンション | 44-52-60lbs |
発売 | 2022年10月上旬 |
生産国 | MADE IN CHINA |
黄金スペックを基準にすると、ツアーO3 100は「やや重め」「トップライト」「やや薄目」のセミボックス形状フレームのモデルです。
プリンス ツアーO3 100のインプレ・レビュー
ビジュアルについて
今回の2023ツアーシリーズの中で、このO3は唯一、パールホワイトのグロス塗装が施されています。メーカーロゴ、モデルロゴはゴールドで、O-portの中もゴールドに塗装されており、非常に高級感が漂います。
O3ラケットの特徴ですが、左右のO-portがアシンメトリーに配置される(上下一段ずつずれる)関係で、ラケット上部のバンパーの長さもアシンメトリーになります。上の写真で分かる通り、左側が短く、右側が長いことが確認できます。
また、ノーマルグロメットのツアー100と比較すると、そもそもバンパー自体が短い点もO3ラケットの特徴です。
ツアーO3 100を打ってみた
自分自身の基準ガットを張り上げ、無謀ともいえる挑戦ですが、いきなり公式試合でデビューさせてきました(笑)。
またその後の練習でもみっちり打ってきました。
尚、私は比較的硬めで飛び過ぎないラケットを好んで愛用していますので、そのような者が語るインプレとしてご理解ください。
セッティング:シグナムプロ ファイヤーストーム 1.25mm、49ポンド(プレストレッチ5%)、GOSEN張り
フレックス(フレーム硬さ・剛性感)
ラケットフレームのフレックスは硬めですが、それを感じさせない絶妙な仕上がりのフレームです。
主観では、ノーマルのツアー100(前作の2020モデル)以上にフレーム剛性は強靭で、余計なしなりがない点は、個人的にとても好印象でした。
一方で、O-portや、その他搭載テクノロジーのハーモニーによる低衝撃性によって、ガチガチな硬さはなく、ノーマルよりも優しい打感に感じます。
ノーマルより打球情報のダイレクト感は減りますが、それは一長一短で、スイートエリアの広さ、オフセンターヒッティング時の楽さは明らかなメリットでした。緊張を強いられる試合においても、安心して取り扱いができました。
打感:硬派なのに優しいラケット/しなりではなくたわみが特徴
しならないけど、心地よくたわむ。硬派なのにしんどくない。
ボールをくわえこむ懐の深さ、ホールド感を強く感じます。それは、フレームのしなりではなく、面のたわみの感覚が強いのです。フレームは強いのにホールド感がある、独特の心地よさと安心感を両立しています。
これまでメインラケットとして使用してきた、ツアー100(2020モデル)と比較すると、タッチ系の感覚が優れる、楽にパワーを出してくれる点がメリットです。ストリングパターンが16×19で、ツアー100より横糸を1本多くすることで、打感がボヤケ過ぎないよう調整しているような気がしました。
スピン性能
スピンがよく掛かります。これはO-portのメリットだと思います。
ストリングの動きが良いので、スナップバックも効きやすく、スピンコントロールがしやすく感じました。
ツアーO3 100の搭載テクノロジー
今回のラケットに搭載されているテクノロジーをまとめます。
Purify Vibration System(P.V.S)
すでにビースト2022やファントム2022に搭載されているP.V.Sが、今回のモデルチェンジで、ツアーシリーズにも搭載されました。
必要な打球情報はそのままに、不快な衝撃を緩和するという(うたい文句の)美味しい機能です。
長時間のプレーでもパフォーマンスが落ちないように開発された新機能。新素材の高分子エラストマーをラケットシャフト部からグリップ部に搭載し、打球時の衝撃と不快な振動をふるいにかけて心地よい打球情報のみを手に伝える。いまだかつてない超衝撃吸収・超振動吸収を実現。疲労の蓄積を軽減しプレー後半にも再現性の高いスウィングを可能にする。
用元:グローブライド社プリンス公式サイト
テキストリーム×トワロン
プリンスラケットに標準搭載されるテキストリーム×トワロン。画期的高性能カーボンシートである『テキストリームカーボン』に、軽量かつ柔軟、高強度、衝撃吸収に優れるアラミド繊維『トワロン』を配合しており、「第2世代のテキストリームカーボン」と位置付けられています。
- パワーとコントロール性のアップ
シャフトのフレックスを固くすることなく、フェイスのねじれを更に減少- ボールスピード、球持ち感のアップ
フレームの戻り(復元力)が向上- 打球時の快適性アップ
不快な振動を低減。- ヒジや手首への優しさアップ
衝撃吸収性に優れる。
ATS(ANTI-TORQUE SYSTEM)
テキストリーム×トワロンを、ラケット上部10時2時の位置に配置したのが、ATS(ANTI-TORQUE SYSTEM)なる技術です。
シャフトに加え、フェイスの10時と2時にTeXtreme × Twaronを配置することで、ラケット上部の剛性が増し、ボールの推進性とコントロール性がアップ。更には、振動吸収性が増し、クリアな打球感で「掴んで弾く」性能が向上。
引用元:グローブライド社プリンス公式サイト
Xモーフフレーム
ツアーのフレームの形状自体は、数モデルにわたって変更されておらず、この2023のO3も変更されていません。
Xモーフフレームと言われる、セミボックス形状が特徴的で、振り抜きの良さと、硬質な中にも適度なたわみを加えてくれる、とても完成度の高いフレームです。
内側と外側の厚さを変えることで、ボックス形状とエアロ形状のそれぞれの長所を併せ持つprince独自の新形状。
打球時の反発復元力に加え、ねじれに対する強さも発揮。また空気抵抗が小さく振り抜きがよいのも特徴。スピード + コントロール性 + スピン性を実現する。
(TOUR O3 100/TOUR 100/TOUR 100SL/TOUR 98に採用)
引用元:グローブライド社プリンス公式サイト
New O-Port
プリンス特有のOポートは、空気抵抗減少=振り抜きの良さ、スイートエリアの拡大、マイルドな打感の実現、フレーム剛性を高める役割を果たします。
一方で、ノーマルグロメットと比較すると、ハードさが緩和された分、打球情報が少なくなり、それがデメリットと感じる人もいると思います。
ハードスペックのラケットから、少し楽な方向へラケットチェンジをする際に、O3はひとつの選択肢になってくれると思います。
ホームストリンガー視点では、O-portはちょっと張りにくい点があります。横糸を張る際に、ターンテーブルロックをしないと、きれいに真横にストリングを引っ張れない部分が出来てしまうためです。いい加減に張ると、ラケットを傷つけかねないので、気をつけながら張る必要がありました。慣れれば問題ないとは思いますが。
尚、タイオフホールは非常に合理的な場所に設定されていました。
スウィートエリアが広く振り抜きのよいOポートをグロメットレスで搭載。打球感をクリアにし、スウィングの力をダイレクトにボールに伝えます。
引用元:グローブライド社プリンス公式サイト
(TOUR O3 100に搭載)
2ピーススロート
2つのピースで構成することで、衝撃緩和を狙っているのがこの機能。
スロート部分で衝撃緩和を狙うのはプリンスの得意技です。DBに搭載されるダンパーほど仰々しくはないものの、このラケットの打感のさりげない隠し味になっているのかも知れません。
インパクト時の衝撃を軽減し、ストリングスの振動を抑える2ピース構造のスロートを採用。
出典:グローブライド社プリンス公式サイトより
プリンス ツアーO3 100の推奨度
今回の2023モデルチェンジで、ツアーO3 100に追加搭載された機能は実質P.V.Sのみで、不快な振動・衝撃をより少なくする方向へマイナーチェンジされたことになります。
前作を打ったことがないため、その比較はできませんが、絶対評価としてかなり完成度の高いラケットであると断言できます。
ルックス面では、高級感のあるグロス塗装、パールホワイトカラー、ゴールドロゴの高級感、TOURロゴのシンプル化など、かなり魅力的な仕様に進化したと言えます。
ツアーシリーズはそもそも競技志向の高いシリーズですが、このO3 100であれば、競技系プレーヤーから、中上級レベルまで幅広くカバーできそうな気がします。
「ものすごく出来の良い、守備範囲の広いラケット」
先入観抜きで、一度試してみる価値は十分あると思います。
尚、290gモデルもラインアップされていますので、カスタム検討される方、軽量ラケットが好みの方、女性プレーヤーは、こちらも候補にできそうです。