前回のモデルチェンジから2年、ファントムグラファイトシリーズに『スピン特化型』とされる100XSが追加ラインアップされます。
今回、発売前に試打する機会をいただきましたので、早速インプレを紹介していきたいと思います。
2024年に発売されたファントムグラファイト100も進化した素晴らしい完成度でしたが、今回の100XSは個人的には過去最高の『グラファイト』だと感じました。

PHANTOM GRAPHITE 100XS(300g / 285g)/PHANTOM GRAPHITE 100(2024)スペック比較
最初にカタログスペックの紹介です。2024年のファントムグラファイト100と特に異なる部分を太文字で示しています。
| 項目 | 100XS(300g) | 100XS(285g) | PHANTOM GRAPHITE 100(2024) |
|---|---|---|---|
| 発売時期 | 2026年2月中旬 | 2026年2月中旬 | 2024年7月上旬 |
| 税込価格 | ¥41,800 | ¥41,800 | ¥41,800 |
| カラー | エンパイアブルー | エンパイアブルー | ブラック×グリーン |
| 素材 | 高弾性カーボン + TeXtreme × ZYLON + 高分子エラストマー | 同左 | 高弾性カーボン + TeXtreme × ZYLON + 高分子エラストマー |
| ヘッドサイズ | 100 in² | 100 in² | 100 in² |
| 平均重量 | 300 g | 285 g | 310 g |
| 全長 | 27 in | 27 in | 27 in |
| バランスポイント | 320 mm | 325 mm | 310 mm |
| スウィングウェイト | 285 | 285 | 290 |
| フレーム厚 | 23-21-19 mm | 23-21-19 mm | 21.5-20-17.5 mm |
| グリップ種類 | RESI TEX TOUR ECO(ブラック) | RESI TEX TOUR ECO(ブラック) | RESI TEX TOUR(ブラック) |
| 展開グリップサイズ | 2, 3 | 1, 2, 3 | 2, 3 |
| ストリングパターン | 16 × 18 | 16 × 18 | 16 × 18 |
| 推奨テンション | 44-52-60 lbs | 42-50-58 lbs | 44-52-60 lbs |
| パワーレベル | 800 | 805 | 790 |
| 付属品 | カバーなし | カバーなし | カバーなし |
| 生産国 | 中国 | 中国 | 中国 |
- 100XSはラメブルー、100はラメダークグリーン
- 100XSは100より重量が軽くトップヘビーバランス、SWやや小さい
- 100XSは100より1.0~1.5mmフレームが厚い
- 100XSはパワーレベルが微増
インプレ・レビュー
デザイン






今作100XSでは、グラファイトのイメージカラーであるグリーンは用いられず、美しいラメのディープブルーのグロス塗装を採用しています。
最近のプリンスラケットは、ゴチャゴチャしたプリントや切り返しを排除し、極力シンプルなデザインを採用しています。今作でもデザインは極シンプルで、ロゴの主張も最低限、カラーリングのみで主張する姿勢が個人的にはとても気に入っています。
なお、先行する他のファントムグラファイトとデザイン的齟齬が生じないよう、100XSではカラーリング以外はロゴデザインや大きさも含め変更されていないようです。。
試打インプレ
100XSの2スペックを試してきました。
【グラファイト100XS セッティング】
PHANTOM TOUCH 1.19mm 48ポンド(300g)/48ポンド(285g)

フレックス(フレーム剛性・たわみ)
主観的には、ノーマル100よりもしっかりしており、しなりが減ったぶんパワーロスが少ない印象でした。RA値を意図的に上げたのか、フレーム厚の影響なのかは分かりませんが、打てばその違いは明確に感じられます。
初代ファントムグラファイトは柔らかくしなりすぎる点が好みに合わなかったのですが、2025年モデルの100でその弱点がかなり解消されたと感じていました。しかし、この100XSはその中でも最もバランスが良く、フレックスの質が自分には一番しっくりきました。
ザイロン由来の“粘り強さ”がしっかり残っていて、硬派さと安心感が共存している印象です。
打感:例えるなら讃岐うどん硬めのコシ、モッチリ感、そして歯切れの良さ
— グラファイトなのにパワーが出しやすい —
硬派なグラファイトに“扱いやすさ”が加わったような打感で、コシの強さに加えて粘りやモッチリ感も感じられます。そのうえでインパクトの歯切れが良く、しっかりパワーが乗る。中身の詰まった重厚感。「例えるなら讃岐うどんだな」と思いながら試打していました。
かつてのオリジナルグラファイトのようなガチっとした打感ではなく、従来のファントムグラファイトの過度なしなりも抑えられている。絶妙な打ちやすさと心地よい打感が両立しています。
さらに、フェイス形状は“これぞプリンス”と言いたくなる丸形フェイス。個人的な好みもありますが、オフセンターヒットへの寛容さがあり、この形状が打ちやすさに大きく貢献していると感じました。丸形フェイス、やっぱり好きなんですよね。
また、今回の100XSは少しTOUR100に打感が近くなったようにも感じました。
スピン性能
スピン特化型かと言われると少し大げさな気もしますが、実際に打ってみると引っ掛かりが良く、スピンショットの感覚は確かに良好でした。
スライスサーブは思った以上に曲がり、スピンサーブも予想以上に跳ねてくれる。トップスピンロブもコントロール良く打てました。
フレームが厚くなったこと、そしてストリングパターンが比較的粗めであることが相まって、これまでのグラファイトよりスピン性能が相対的に向上していると感じます。
300gと285gの印象の違い
個人的な好みでは、300gよりも285gのほうが包容力があり、より打ちやすく感じました。
最近は軽量スペックのTOUR100(290g)を愛用していることもあり、そのバランス感や振り抜きの感覚が近いことが影響しているのかもしれません。実際、TOUR100(290g)と100XS(285g)はスイングウェイトがどちらも285で、数値的にも同じでした。
とはいえ、300gと285gをブラインドで振ってみると、正直どちらがどちらか分からなくなるほど差は小さいのも事実です。特に“振っていくショット”では違いが出にくく、タッチ系の安定感では300gのほうがわずかに優位かな、という印象を持ちました。実は両重量とも、SWが一緒なんですよね。この点は少し驚きでした。
テクノロジー
100XSに搭載されているテクノロジーです。出典:プリンス公式サイト
従来のノーマル100では搭載されておらず、100XSで搭載されたものは、
- エクスパンドホール
- パラレルホール
- 2ピーススロート(285gのみ)
とのことです。
エクスパンドホール
グロメットホールの径を大きくし、ストリングスの接点をフレームの外側にすることで、ストリングの動きをスムーズにしてスウィートエリアをフェイスの全方向に拡大します。
パラレルホール (GRAPHITE)
全体の86%のストリングがフレームの外側まで1直線になるようにグロメットホールを設定。スウィートエリアが(特にトップ方向へ)拡大。スウィートエリアとヒッティングポイントがリンクし、パワーとスピン性能をアップします。
パラレルホールの特徴
パラレルホール設計は、バンパーとグロメットのセパレート構造を必要とします。
フレーム上部やストリング面を手で叩くなどした場合、ストリングの種類やストリングが張られた状況によっては、ごくまれに、バンパーとグロメットのセパレート部分で共鳴音がする場合がありますが、プレイするうえでボールヒッティングとその結果には影響ありませんので、安心してパラレルホールテクノロジーの効能を実感ください。
2ピーススロート(285gのみに搭載)

インパクト時の衝撃を軽減し、ストリングスの振動を抑える2ピース構造のスロートを採用。
ATS(Anti-Torque System)
シャフトに加え、フェイスの10時と2時にTeXtreme × ZYLONを配置することで、ラケット上部の剛性が増し、ボールの推進性とコントロール性がアップ。更には、振動吸収性が増し、クリアな打球感で「掴んで弾く」性能が向上。
CTS

グリップ上部からフレームトップ部にかけて均等に厚みを増していくフレーム形状により、スウィートエリアがトップ方向へ拡大します。さらに、フレックスポイントから打球点までの距離が長くなるため、フレームのしなりによるパワーがアップします。
ボックスフレーム

フレームをボックスフレーム(四角形状)とすることでフレームの捻れを大幅に軽減し、優れた安定性と高いコントロール性能を生み出します。
クロスバー

シャフトにグラファイトの代名詞クロスバーを搭載することで、フレームの捻れを抑え、コントロール性能を大幅にアップさせます。また、グラファイト独特のフレックスポイントを創り出します。
RESI TEX TOUR ECO
本革の上にPUコーティングを施したグリップ。上級者好みのシャープな打球感に加え、滑りにくさも加わったグリップ。
Purify Vibration System Ⅱ(P.V.S Ⅱ)
長時間のプレーでもパフォーマンスが落ちないように開発された新機能。新素材の高分子エラストマーをグリップからシャフト部に搭載範囲を拡大し、打球時の衝撃と不快な振動をふるいにかけて心地よい打球情報のみを手に伝える。いまだかつてない超衝撃吸収・超振動吸収を実現。疲労の蓄積を軽減しプレー後半にも再現性の高いスウィングを可能にする。
テキストリーム×ザイロンテクノロジー

TeXtreme × ZYLONをシャフトとフェイスの2時、10時に搭載。
TeXtreme × ZYLONを掛け合わせた「GENERATION Z 」は今まで以上に捩れ剛性を高めることで更なるスピードボール、パワー、スピン、そしてコントロール性を実現。
また、衝撃吸収性もアップデートされ、打球感、快適性も大きく向上。現代テニスにおける攻撃力、守備力、変化に対応し、あらゆるショットにおいて優位性をもたらしてくれる新たな「 TeXtreme GENERATION Z 」を体感いただきたい。
ファントムグラファイト 100XS インプレまとめ
ファントムグラファイト100XSは、従来のグラファイトのイメージを覆す、親しみやすく扱いやすさが大きく向上したモデルという印象でした。
フレックスはノーマル100よりもしっかりしており、しなりすぎないぶんパワーロスが少なく、振ったエネルギーが素直にボールへ伝わります。ザイロン特有の粘りも感じられ、硬派さと安心感のバランスが絶妙です。
打感は“讃岐うどん”のような心地よい弾力とキレがあり、パワーが乗せやすい部類。丸形フェイスの寛容さも相まって、総じて非常に打ちやすい仕上がりになっています。300gと285gの差は小さいものの、振り抜きの軽さは285g、タッチの安定感は300gがやや優位という印象でした。
個人的には「過去最高のグラファイト」と言っていい完成度だと感じました。
グラファイトに憧れつつもこれまで手を出しにくかった方、かつてグラファイトを愛用していたベテランの方々にも、100XSはぐっとハードルの低い“入りやすいグラファイト”になっていますよ。


