前作のピュアストライク100は、硬質感とマイルドさのバランスに優れ、しっかり打つほどに良さが引き出されるような素晴らしいラケットでした。オフセンターでは楽をさせてくれないため、質の高いプレーを求められる感覚も良かったのです。
個人的に感じていた唯一の欠点は、バボラ特有の少々過剰なデザイン。とは言ってもバボラの中では最もシンプルではありましたが。
そんなピュアストライクシリーズが2024年1月にモデルチェンジされ、シンプルを好む人たちが満足する、洗練されたデザインに進化してくれました。
前評判も良さそうでしたので、早速入手しました。前作と比較して良かった点、悪かった点含め紹介します。
バボラ ピュアストライク100の製品プロフィール
スペック・製品情報
最初にカタログスペックの紹介です。
バボラ ピュアストライク100(2024年モデル) | |
フェイスサイズ | 645cm²(100inch2) |
平均ウェイト | 300g |
バランス | 320mm |
全長 | 685mm(27inch) |
スイングウェイト | 295 |
フレーム厚 | 21-23-21mm |
RA値 | 68 ※前作72 |
素材 | グラファイト(カーボン) |
グリップ | Syntec Team、サイズ1、2、3 |
ストリングパターン | 16×19 |
推奨テンション | 22-26㎏(48-57lbs) ※前作23-27kg(51-60lbs) |
メーカー希望小売価格 | 38,500円税込 ※前作34,000円税込 |
発売 | 2024年1月 ※前作2019年10月 |
生産国 | 中国製 |
メーカー製品説明 | 商品説明 PURE STRIKE (ピュア ストライク) 100 16X19は、コントロール性、パワー、寛容性の3つをバランス良くカバーし、泰然と落ち着いたゲーム展開を可能にします。4代目のPURE STRIKEは、最高のテクノロジーにより、インパクト時のコントロールとフィーリングをさらに向上させます。このラケットを手に、コート上であなたの創造力を思いっきり発揮してください。 |
スペックから見る変更点
前作発売から実に3年3ヵ月の月日が経過しての、新作発売となりました。昨今のラケットはモデルチェンジまで2年周期も珍しくないため、ピュアストライクシリーズは長めの周期と言えます。
定価は、前作比で4,500円アップしています。物価上昇、為替変動の影響はありますが、ピュアストライクもかなり高級なラケットとなってしまいました。
スペックでの大きな変更はありませんが、RA値が72→68となりやや柔らかめになり、それに伴うものと推測しますが、推奨テンションもやや下がりました。
モールドも変わっておらず、断面形状はボックス、楕円、凸状の複合型フレームのままです。
インプレ・レビュー
デザイン
前作は、バボラのダブルラインの入りがアシンメトリーでしたが、今作では左右対称のオレンジ配色となりました。
STRIKEのロゴと、ロゴのサイズともに前作よりも控えめでシンプルに変更されています。反対側のスロートはさらにシンプルなデザインとなっていて、モデル名が控えめなサイズで入っているところが、個人的にはかなり好印象です。
また、ヘッドバンパーも前作ではオレンジでしたが、今作は再びブラックに戻り、引き締まった印象になりました。
全体的に、ピュアドラやアエロのようなデザイン上のうるささはなく、ピュアストライクの独自路線が表現されていて、とても良いデザインに生まれ変わったと思います。
試打インプレ
私は比較的硬めで飛び過ぎないラケットを好んで愛用していますので、そのような者が語るインプレとしてご理解ください。
【セッティング】
SIGNUMPRO FIRESTORM 1.25mm 48ポンド プレストレッチ5% GOSEN1本張り
フレックス(フレーム硬さ)
フレックスは前作比でややしなり感が増しましたが、一般的には依然として硬めのフレームです。RA値72→68の変化はそこまで大きく感じませんでした。
RA値が4ポイント低下した点について、打つ前は少し不安でした。個人的に硬めでしなり感が大きくないフレームが好みなのです。
しかし、この心配は杞憂に終わりました。確かに球をくわえてくれる時間が増えた感覚はありますが、依然としてしなり感は少ない部類であり、ピュアストユーザーを裏切らない絶妙なラインで設計されています。
打感:ハードと感じる人は間違いなく減ったはず。打球音が大人しくマイルドにすら感じる
打感としては、
打球音が大人しくなり、少し打球情報が減ったようです。裏を返せばオフセンターヒットの際、誤魔化しが利く範囲が増えた
と思います。
前作をガチガチなラケットと感じていた人からすると、少し印象が変わり、間違いなく「優しい方向」に変化しています。
私が最初に感じたのは「打球音が随分と大人しくなったな」ということ。打球音から打球情報が得られるという側面もありますので、この点は好き嫌いが分かれる部分かもしれません。今モデルチェンジでは、衝撃吸収性能の向上によりこだわったようですので、打球音が大人しくなるという副効用or副作用も伴ったのでしょう。
その他、ピュアストライク特有の引っ掛かりの良さ、フェイス先端気味で打った際により良い感触で打てる点は変わっていません。
スピン性能
上述の通り、引っ掛かりの良さは前作から変わっていません。スピン性能全般、大きな変化はないのですが、球持ち感が大きくなった分、人によっては微調整が必要になるかもしれません。
私が現在メインで使っているプロスタッフXと比較すると、ピュアストライク100の方がナチュラルにスピンがかかり、ストロークの暴発が減り、コートにおさまってくれます。
サーブはプロスタッフXより軽量な分、少しパワーを出しづらかったですが、一方で回転がかかりやすく、スライス・スピンサーブが短くなり、軌道の修正が必要でした。そして修正後は「よく曲がってくれる」印象に変わりました。
リターンではコンパクトに振って、ちょうど良い軌道で落ちてくれた点もきわめて好印象でした。
この引っ掛かりの良さは、独特のフレーム形状が貢献してくれているのではないでしょうか。
デメリットは?
あくまでも現在使用中のプロスタッフXと比較してですが、少しパワーを出しづらく、ボレーは自ら押していく意識が必要でした。ラケットのパワーを利用できるフラット系サーブやスマッシュでは、同様にパワーが出しづらい印象を受けました。
「ラケットのパワーを借りる」「ラケットにサポートしてもらう」という点では、やや少な目のラケットだと考えます。
搭載テクノロジー
ピュアストライクシリーズに用いられているテクノロジーです。
SWX PURE FEEL
前作では『C²ピュア フィール』と謳っていましたが、今作からはSWX PURE FEELに変わりました。説明文を見る限り、大きく変わっていないため、名称の変更でしょうか?
フレーム内に振動吸収性素材を組み込むテクノロジーとして搭載されています。
SWX PURE FEEL
バボラ公式サイト商品ページより
SMACテクノロジーにより開発されたこの粘弾性素材は、画期的な防振システムを形成するラケットの構成素材として組み込まれており、接触の瞬間の打球感をより強化します。
NF²-TECH
今シリーズから新たに導入されたのが、衝撃吸収性能の高い天然亜麻繊維のフレーム内搭載技術『NF²-TECH』です。
説明は以下の通りですが、FLAXで知られる天然亜麻繊維に着目し、前作以上の衝撃緩和を実現しました。
NF²-TECH
ラケット面の3/9時の位置に天然亜麻繊維を加えることで、振動を最大限吸収し、接触時のピュアな打球感を実現します。 また、亜麻はより和らいだ音を発生させるため、より優れたコントロール感覚を得ることができます。
バボラ公式サイト商品ページより
FSI CONTROL PURE STRIKE 24
詳細は以下の通りです。
バボラ伝統のウーファーグロメットは、今作のピュアストライクでも引き続き搭載されています。一定の球持ち感を与えてくれる優秀なグロメットです。
FSI CONTROL PURE STRIKE 24
バボラ公式サイト商品ページより
フレームストリングインタラクションコントロールは、コントロール性を高めるタイトなストリングパターンと、ボールがストリングに接触する時間を長くすることにより優れた打球感を実現するウーファー システムを組み合わせたテクノロジーです。
ピュアストライク100 2024 インプレまとめ
NEWピュアストライク100も、前作同様に完成度の高いラケットでした。
- 硬質すぎるラケットではないが、やはりフレックスはしっかりしている
- 打球音が大人しい
- 引っ掛かりが良く程よいスピン性能でストロークコントロールが好感触
- プロスタッフ比で軽量な分、自らパワーを出す必要あり
- フェイストップで打つほどパワーとコントロールが両立できる感覚
- バランスの取れた今どきの薄ラケ
- デザインはバボラ史上最高得点
このようなイメージを受けました。
ピュアストライク100はメイン機種にもなりうる、私好みのラケットでした。