2024全豪オープンで悲願の初優勝を果たしたヤニック・シナーが使用しているヘッドスピードシリーズが、2024年1月にリニューアルしました。
私も、初代スピードプロ(YOUTEK SPEED)とグラフィンタッチスピードプロを使っていたことがあるため、馴染みのあるシリーズです。
今回、全豪でのシナーの活躍に触発され、シリーズの代表モデル『スピードMP』を衝動的に入手してしまいました。早速インプレを紹介します。
ヘッド スピードシリーズ2024とMPの位置づけ
スピードシリーズは、ヘッドのラケットラインアップにおいて中難易度に位置付けられるスペックで、余計なクセが少なく、23mm厚のやや薄めのフレームが特徴の、コントロールとパワーを両立するモデルです。
その中でMPは、シリーズ上位2番目の機種であり、ヘッド独自のパワー指標であるCPI(CONTOROL POWER INDEX)は500と、ちょうどど真ん中のモデルと言えるでしょう。
シナーは全豪時点では、依然として前モデルのスピードMP(16×19)と見られるラケットをまだ使用し続けていますが、間もなく2024デザインを使い始めるでしょうか。
スピードMP 2024 製品プロフィール
スピードMPのスペックです。
フェイスサイズ | 645cm²/100inch² |
---|---|
平均ウェイト | 300g |
バランス | 320mm |
全長 | 685mm/27inch |
フレーム厚 | 23mmフラットビーム |
RA/スイングウェイト | 60/330(テニスウェアハウス参照) |
素材 | カーボン |
パターン | 16/19 |
生産国 | 中国 |
スピードMP 2024のインプレ/レビュー
【セッティング】
SIGNUMPRO FIRESTORM 1.20mm 48ポンド プレストレッチ5% GOSEN張り
フレックス
テニスウェアハウスのRA値は60とやや低い数値ですが、打った感触としては、そこまでしなり感は大きくありません。
今回、塗装がしっとりとしたベルベットコーティングになった影響もあるのか、ラケット全体での衝撃緩和が優れていて、雑振動やオフセンターでの衝撃が非常に少ないラケットです。この衝撃緩和性能のおかげで、ラケット自体がマイルドと感じ、フレーム自体が柔らかいと捉える人もいると思います。
私は心地よい「穏やかな打感」である一方で、しっかりとした反発もある、絶妙な好バランスフレームだと感じました。個人的に柔らかラケットが苦手ですが、そんな私でもけっこう快適でした。
それにしても、昔のスピードシリーズ(YOUTEK、グラフィンタッチ)はもう少しカンカンした打感でしたが、現行はすっかり穏やかなイメージに変わりました。
打感・コントロール:激しいショットでも穏やかな打ち応え・スイングパワーは損なわない・高弾道で引っ掛かりが良い
反発感はありつつ、スイングスピードを上げたハードヒット時においても、感触的には非常に穏やかな印象。
一方で自身のスイングパワーは損なわれず、「意志が伝わりやすい」フレームでもあります。
現在私が使用しているウイルソン プロスタッフXと比較すると、楽にパワーを出しやすく、オフセンターで当たった際にも、プロスタッフよりは誤魔化して助けてくれます。たとえば振られて飛びついて返す際のスライスショットなど、このラケットはプロスタッフよりは断然楽に深く返球できます。
その他、スロートの形状、ベルベット調のマット塗装は、握り心地も良いです。この点は、片手バックの自分には意外と重要なポイントです。
ひとつ以外だったのは、重量300g バランス320mmのゴールデンスペックにもかかわらず、かなりトップヘビーに感じられたこと。テニスウェアハウスの各ラケットのスイングウェイトを見てみると、スピードMPは330であり同じ重量バランスのラケットと比較して、スイングウェイトが大きめでした。
そして、私が現行で使っているプロスタッフXのスイングウェイト322よりも、スピードMPの方が大きかったのは意外でした。
スピン性能
クセの少ない万遍ないストリングパターンであり、スピン性能も中程度に実現してくれます。少なくともプロスタッフXよりは弾道が上がりやすく、スピンもかかりやすいです。
スピードMPは、スピン追求型ラケットではないので、過剰ではない適度なスピン性能、素直なスピン性能を求める人にマッチしそうです。
デザイン
白黒モノトーンのシンプルデザインは使い手を選びません。
今作は前作から、白と黒の配置を変更しましたが、モデル「SPEED」の字体、Sロゴのデザインともにより洗練されたのではないでしょうか。
あくまでも個人的見解ですが、Sロゴはわざわざ目立たせなくても良いのでは…と思っていますが。
スピードMP 2024 搭載機能
WEBカタログに記載されている通りですが、スピードMPには次のような機能が搭載されています。
AUXETIC
オーセチック構造は、非オーセチック構造と比較して独特の変形を示します。その内部特性により、オーセチック構造は「引っ張る」力が加えられると広がり、絞られると収縮します。加えられる力が大きいほど、オーセチック反応も大きくなります。
GRAPHENE INSIDE
ほとんどのラケットに戦略的に配置されたグラフェンは、フレームを強化し、安定性を高め、ラケットからボールへのエネルギー伝達を最適化します。次のラケットを購入するときは、グラフェンが入っていることを確認してください。
POWER GROMMETS
拡張パワーグロメットは、ストリングの動きを最大限にしてパワーを増大させます。
DIRECTIONAL DRILLING
指向性のあるドリリングがパワーとスイートスポットの両方を強め、抜群の打球感を与えます。
SPEED PATTERN
特殊なスピードのストリングパターンには、コントロールとパワーの完璧な両立をもたらします。
SPEED BEAMスピードビームのエアロダイナミックな断面は、スイングスピードとパワーを最大限に引き出します。
※ヘッド 公式サイト『SPEED MP』より
まとめ
最新のスピードMP 2024は、穏やかな打感の好バランスラケットです。
とびぬけた特徴をあえて出さず、全ての性能バランスを整えたようなラケットであり、本当に幅広いユーザーに対応できそうな印象です。
初級レベルの方の次の選択肢にもなりそうですし、ハードスペックのラケットから少し楽を図りたい方の選択肢にもなりえます。私は現在ウイルソン プロスタッフXを使用していますが、これがスペック的に厳しくなってきたとすれば、スピードMPも有力なマイラケ候補になると思います。
本当に嫌なところが少ないスピードMP、おススメです!
- 老若男女幅広いユーザーに対応しそう
- プレースタイルを選ばないオールラウンドさが特徴
- ハゲ打ちしても衝撃少ない穏やかフレーム
- 柔らかラケットなわけではない
- トップヘビーでスイングウェイト大き目
- シンプルデザインは文句なし