1984年発売、その後25年に渡るロングセラーを誇った名器『プロスタッフミッド』
クリス・エバート、ステファン・エドバーグ、ジム・クーリエ、ピート・サンプラス、そしてロジャー・フェデラーが愛用したこともあり、時代を超え、一般プレイヤーにとっては長年にわたり憧れのラケットでした。
ステファン・エドバーグに憧れていた私は、プロスタッフミッド セントヴィンセント製を手に入れて高校テニス部に入部、それはそれは生意気な1年生でした。
その頃から今でも大切にしているプロスタッフミッド セントヴィンセント。その魅力を紹介していきたいと思います。
プロスタッフは年代によって全く別物のラケット
プロスタッフミッドは製造年、製造国によって仕様が異なります。自分調べですが、おおよその分類は以下の通り。
- USシカゴ製:バンパーなし、スロート両外側に『MIDSIZE』印字
- 初期 ST.VINCENT製:バンパーなし、スロート両外側に『MIDSIZE』印字
- 中期 ST.VINCENT製:バンパー付き、スロート両外側に『MIDSIZE』印字 フレーム幅が狭い
- 後期 ST.VINCENT製:バンパー付き、スロート片側に『MIDSIZE』もう片側は『Braide Graphite/Kevlar Composite 80%Graphite・20%Kevlar』と印字 フレーム幅が肉厚
- TAIWAN製:デザインは④と同様だが塗装、印字法が異なる。フレーム幅が狭い
- CNINA製:PRO STAFFのロゴも変わり、以降はリミテッド、ハイパーカーボン、6.0、TOUR DBなど展開。オリジナルの良さが薄れていく・・・
私が実際に所有したことがあるのは太字の❸~❺。この3モデルだけ見ても仕様、打感などが全く異なるラケットでした。
今でも所有している思い入れのある個体は❹後期 ST.VINCENT製で、その塗装の高級感、独特な印字方法、ズッシリとした肉厚なフレームでブレが少ない、真ん中に当たった時の心地よさは筆舌に尽くしがたいものでした。付属するラケットカバーも無駄に高級で、部分的に本革を用いるこだわりようでした。
先輩から譲ってもらった❸中期 ST.VINCENT製は、❹と比較してフレーム幅が狭いためか、振りぬきに優れる印象だった記憶があります。残念ながら部活中に折れてしまいました…
❺TAIWAN製からはマット塗装の質感が変わり、握り心地が頼りなく、何といっても重量が軽く華奢なフレームなってしまったため全く別のラケットになってしまいました。唯一の救いはTAIWAN製までがFAIRWAYグリップだったことでしょうか…。ピート・サンプラスが引退までセントヴィンセント製にこだわった理由のひとつは、塗装の質感=握り心地だったそうです。私は台湾製には嫌気がさしてしまいすぐに後輩に譲ってしまいました。
プロスタッフミッドの語るべきポイント
プロスタッフミッドについて語るべきポイントは多数ありますが、細かく言い出すとキリがないので別の機会にし、今回は代表的なものを挙げたいと思います。
使用選手の格の高さ
上にも書きましたが、クリス・エバート、ステファン・エドバーグ、ジム・クーリエ、ピート・サンプラス、ロジャー・フェデラーなど。お気づきでしょうか?歴代のNo.1プレイヤーばかりですね。
高級グリップFAIRWAY GRIP
言わずと知れた高級グリップFAIRWAY。これを語り始めると字数が増えますので改めますが、これだけは言えます。『レザーグリップの最高峰』です。
唯一無二のマット塗装
マット塗装のラケットは多数ありますが、セントヴィンセントの塗装と同様のものはありません。通常のマット塗装はサラサラしており比較的テカリが出やすいですが、セントヴィンセントの塗装はやや粗目で非常に手にフィットする秀逸なものでした。
ウィルソンもこれを再現しようとトライしたこともあったようですが、結局上手くいかなかったようです。
個体差がスゴイ!
この当時は全般的にそうだったのかも知れませんが、個体による重量差が大きかったです。5g、10gくらいは当たり前でした。セントヴィンセントの後期には軽い個体はSL(スーパーライト)標記、重い個体はL(ライト)標記に分けていたようです。
語りだすとキリがないラケット『プロスタッフミッド セントヴィンセント』。また機会を作って触れていきたいと思います。