もうそろそろ春の市町村大会のエントリーが始まる時期だと思います。
特に試合では普段の練習通りにいかず、特定のショットに狂いが生じる、ショットの不調を戻せない、ということをほとんどの方は経験したことがあるのではないでしょうか?
今回はそんな時、”ショットの不調に陥った時に出来るだけ早く戻す方法”を考えていきたいと思います。先に言っておきますが、細かい技術論ではありません。
極力シンプルに自分の中の解決方法を知っておこう!というお話です。
感覚的に打てることがテニスの理想
テニスは反復練習の中で沢山ボールを打ち、頭ではなく身体でショットを覚えておくことが最も重要です。低年齢からテニスを始めたジュニアは、間違いなく頭よりも感覚=フィーリングでボールの打ち方を覚えているはずです。動きが身体に染みついて理屈抜きに良い球が打てる、これがテニスの理想形です。
感覚=フィーリングの重要性
何も考えなくても感覚的に、ミスもせず、打ちたい球を打ちたい方向へ打てる、ショット選択が自由に出来る、ある意味常にゾーンのような状態でいられれば、それがベストです。このベストな状態に少しでも近づくために日々練習していると言っても過言ではありません。どれだけ能書きを垂れようが、反復練習によって身体で覚えた素晴らしいショットや対応力には敵いません。テニスにおいてこのことだけは間違いありません。
感覚だけに頼ることはデメリットもある
しかしながらテニスは様々な要因によってズレ=不調が生じてしまうものです。このズレが生じた場合に、単に「今日は調子が悪いなぁ」で終わらせてしまっては何も解決できません。
感覚だけに頼ってテニスをしていると、ズレに対する解決方法が見つからなくなってしまいます。
感覚がズレた時に理解すべきこと
このズレは誰にでも必ず起こるものだと理解して受け入れるべきです。フェデラーでも、ナダルでもジョコビッチでも、どんなレベルの人であっても必ず起こりえます。そしてズレが生じたときの解決方法として、感覚的ではない具体的な自分の中の答えも持っておくべきです。
なぜショット不調に陥るのか?
不調=ズレを起こす要因について理解しておくこともまた大切です。最低限、次のような要因は最初に考えておくべきことでしょう。
- 緊張度の要因:練習と試合の違い、球出しと試合形式練習の違い、ゲームカウントやポイント数によるもの、対戦相手のプレイスタイル、因縁の相手であるなど対戦相手への思い入れ等
- 体調の要因:体調不良、ケガの影響、単純に動きが良くない、身体が重いという感覚など
- 気候など環境要因:気温、高度でボールやストリングの反発が変わる、日差しによってオーバヘッドに支障がある、風の影響など
主に『緊張、体調、環境』です。これらを理解し、避けられるものは避け、改善できることについては改善すること。一方でそれらに『囚われ過ぎない=意識し過ぎない』ためにも、意識を変えうる別のアプローチからの解決方法を持っておきたいものです。
解決方法はズバリこれ!!
その解決方法が『自分の中の、ショットに対する理屈=セオリーを持っておくこと』です。
具体的に目指すのは、そのショットの打ち方を人から尋ねられた時にそれを説明できる程度に、自分の中で“ショットのコツを言語化しておく“ことです。
特に次のようなタイプの方は、感覚だけに頼っていても解決できませんので、ショットのコツを普段から言語化しておきましょう。
- 練習と試合でプレイの質にギャップが大きい
- 苦手意識が強いショットがある
- 普段からショットが不安定・再現性が低い
そしてもうひとつ大切なことは、”言語化しておくショットのコツ”はあまり多すぎてはいけない、難し過ぎてはいけない、ということです。テニスは来たボールに対して瞬時に判断して打ち返すので、3つも4つもコツを意識してプレイすることは出来ないからです。せいぜいカンタンなコツを2つくらいまでにしておきましょう。
コツの言語化:私の例
あくまでも一例なのですが、ショットで迷える子羊になった時に私が実践しているコツの言語化の例です。私だけの”コツ”です。
リターン(フォアバックともに)
- 一歩踏み込むが打点は突っ込みすぎないように
- テイクバックはボレー並みにコンパクトに
私はリターンが荒れやすいのですが、上記の意識を徹底するとボールの返球確率が上がり、感覚が合ってきたらフォロースルーの調節でスピードやコースも打ち分け出来るように回復していくケースが多いです。
フォアハンドストローク
- ボールを迎えにいかず、引き付けてドーンと打つ
- 上半身は地面に垂直な姿勢を保つ
これまた不安定な私のフォアハンド。焦って突っ込みすぎたり、逆に遅れたりすることも多いので、その場合は『引き付けてドーン』というタイミングの取り方を実践します。また上半身の姿勢を意識すると、結果的に打点が安定し、深さのコントロールが安定していくことにつながります。打点が不安定になりやすいフォアハンドを安定化させるための私だけのコツの言語化です。
回転系セカンドサーブ
- とにかくスイングスピードを落とさない
- 軌道を上げる(ネット上50~100cmを通すよう、大きな弧をイメージ)
自分としては比較的安定しているサービスですが、日によってネットに掛かりやすいことがあります。入れにいってスイングスピードが落ちているか、軌道が落ちているケースが多いので、思い切って大きな弧を描くように打つ意識を思い出すようにしています。この意識で確率とパワーの両立ができると実感しています。
最後に
コツの言語化をするにあたり、コーチやテニス仲間のアドバイスは大きな参考となります。
しかし、人からのアドバイスは時に全くハマらないものがありますので、自分にハマるものだけを選択して取り入れましょう。
また、自分にハマる”コツの言語化”を見つけるのは意外と時間が掛かる作業かも知れません。しかも一度はハマったそれが、そのうち自分にフィットしてこなくなるケースも当然ありえます。偉そうに語った私自身がそうでしたので(笑)。
年齢的にもベテランになった私だからこそ、不調に陥った時に対応できる”コツの言語化”を追求しています。そして、常に試行錯誤しアップデートしていくことも意識しているつもりです。
ほんの少しでも皆さんの不調時のヒントになれば嬉しいです。