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【BIG4よ永遠に】魅力を再発見!!『アンディ・マリー: 再起までの道』|amazon prime video

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amazon prime video『アンディ・マリー: 再起までの道』を観ました。

※番組名では”マリー”ですが、以下普段呼びなれている”マレー”に統一します。

マレーが2年以上にわたって股関節のケガに苦しんだ姿に密着した、ドキュメンタリー番組です。この番組ではマレーのメンタリティや苦悩が誇張なく描かれています。観た後には、これまでマレーファンでなかった人でも彼を応援したくなる気持ちにさせられます。

今回、番組では紹介されていないマレーのこれまでの軌跡、そして『アンディ・マリー: 再起までの道』を観て感じたことについて、触れていきたいと思います。

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Contents

アンディ・マレーの軌跡

初めてのグランドスラム決勝進出

2008年の全米オープン、マレーは初めてグランドスラム決勝に進出します。その後フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーが世界ランキング1位から4位を独占し、この4人による上位独占時代が始まりました。

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しかしBIG4と言われはじめたものの、マレーはグランドスラムの決勝で2008年全米から4連敗、頂点は近いようで果てしなく遠く思えました。母国イギリスからのプレッシャー(イギリス人は1936年のフレッドペリー以来グランドスラム優勝者がでていない)、神経質な性格が大事な場面でメンタルに悪影響を及ぼしていたのかも知れません。明らかに上位3人との格の差を痛感させられる状況が続きました。

マレーに訪れた変化の兆し

その後2012年、コーチに往年のチャンピオン”イワン・レンドル”を迎えたことで、マレーに大きな変化が訪れ、結果としてBIG4が最も隆盛を極める年となるのです。

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この年のウィンブルドンでは、マレーとしてグランドスラム4回目の決勝進出、同大会ではイギリス人としては74年ぶりの決勝進出を果たします。母国選手がトロフィーを掲げることへの期待で、熱狂的に盛り上がる会場。第2セットまではフェデラーに互角以上の戦いを見せるマレーでしたが、セカンドセットを5-7で落とすと、メンタルの影響でファーストサービスが入らなくなるこれまでの”気弱なマレー”が発現し、二度と流れを戻すことができませんでした。表彰式で悔し涙を隠さず、それでもフェデラーをたたえるマレー。フェデラーファンの私も、マレーのスピーチに感動して泣かされたことを記憶しています。

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しかし結果的に、この悔しいウィンブルドンの準優勝がマレーにとって大きな転機になるのです。

ロンドンオリンピック金メダルとグランドスラム初優勝

Photo by Christopher Johnson

ウィンブルドンが会場となったロンドンオリンピックでマレーは躍動します。前月の選手権と同じ顔合わせとなった決勝戦で、マレーはフェデラーを完膚なきまでに叩きのめし、ウィンブルドン会場で74年ぶりに男子シングルスで優勝したイギリス人となりました。

オリンピックとはいえ、ウィンブルドンでフェデラーを破って優勝したことはマレーに最大の自信を与えたはずです。続く全米オープンはマレーは絶好調で勝ち上がり、決勝で相まみえるのはこれまでさんざん苦杯をなめさせられてきたジョコビッチ。マレーは2セットを先取し念願のグランドスラム優勝が見えますが、そこで現れたのが『あと一歩のところでの気弱なマレー』。ジョコビッチに第3,4セットを連取され暗雲が立ち込めます。そしてファイナルセット前にトイレットブレークで切り替えを図るマレー。

ファイナルセットは今までのマレーではありませんでした。驚異のメンタルを持つジョコビッチに対してもひるむことなく、ファイナルは6-2で押し切り、5度目の挑戦でグランドスラム初優勝を果たしました

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この年は、全豪:ジョコビッチ、全仏:ナダル、ウィンブルドン:フェデラー、そして全米がマレーと4つのグランドスラムをBIG4が分け合う結果となります。2012年全米でマレーが優勝したことによって、真のBIG4時代が走り出したと言ってよいでしょう。

ナンバーワンに向けての苦闘

グランドスラムを初めて制してから、2013年には念願のウィンブルドン制覇するも、腰のケガ・手術による離脱。2014年はレンドルとのコーチ契約を解消、ケガの影響で不調が続くなど、なかなか万全の状態を維持できないマレー。

2015年になり、この年は上位に食い込むもグランドスラム優勝はかないません。しかしながらテニス自体は上向きで、トップ選手はだれでも一度は掲げたいデビスカップで、出場全試合で勝利をしてイギリス79年ぶりの優勝を達成します。

そして翌2016年にマレーにキャリアピークが訪れるのです。

念願のナンバーワン到達

2016年は全仏準優勝後に、再びイワン・レンドルをコーチに招聘します。

レンドルはマレーのメンタルを引き上げる術を知っているのでしょうか。ウィンブルドンでラオニッチを破り3年ぶりのグランドスラム制覇、久しぶりに大きな存在感を示します。

そこからは圧巻の快進撃が続きます。リオオリンピックで史上初の男子シングルス連覇、全米では錦織に惜敗ベスト8で終わるも、アジアシーズン以降マスターズ2大会含む4大会連続優勝をし、この時念願だった世界ランキング一位を29歳にして達成するのです。

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そしてナンバーワンとして挑んだツアーファイナルでも天敵ジョコビッチを撃破、5大会連続優勝、年間世界ランキング1位も同時に達成しました。

負の分岐点

”ナンバーワン”の呼び名だけでなく、2017年にイギリス王室からナイトの称号を与えられたサー・アンドリュー・バロン・”アンディ”・マレー。しかしながら2017年はマレーにとって”負の分岐点”の年となってしまいます。

前年の5大会連続優勝など、とにかく走り続けて酷使した身体が悲鳴をあげたのでしょうか。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだウィンブルドンをベスト8で終えてから、悩まされてきた股関節のケガで早々にシーズンを終了することになってしまいました。

2018年初めには股関節の手術を行い、長期離脱を余儀なくされることに…。

そして、amazon prime video『アンディ・マリー: 再起までの道』は、この股関節のケガからのマレーの苦闘を追ったドキュメンタリーなのです。

『アンディ・マリー: 再起までの道』で描かれていること

ネタバレにならない範囲で、このドキュメンタリーのみどころを簡単にまとめます。

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みどころ

  • 股関節のケガがいかに深刻だったのか
  • ケガ回復への期待と予想だにしない経過に対するマレーの心の機微
  • 人生を変える幼少期の出来事
  • 選手同士、元選手との交流
  • トレーナーやチーム、そして妻の支え
  • マレーの豪華すぎる自宅とトレーニング環境 人間はここまで自分を追い込めるのか!?
  • 股関節再手術=人口股関節置換手術へ踏み切った心の内
  • 引退に対しての心の内
  • 陽気?神経質?繊細? マレーの本当の性格

マレーがいかにテニスを愛しているか、いかにテニスを必要としているのかが本当によく分かる番組でした。

そして、このような苦悩に向き合っているのはきっとマレーだけではないはずです。テニスのトッププレイヤーたちの苦悩、日々が闘いなのだということをまざまざと見せつけられた気がします。

このようなプレイヤーの影の部分を知ることで、テニスをより多面的に観ることができるようになるのではないでしょうか。

さいごに

BIG4の一角であるマレーのケガによって、ここ3年間はBIG3という呼び名で定着しつつあります。

しかし今回のドキュメンタリーを観ると、決してマレーが復帰をあきらめていないことがよく分かります。2020年に入り、再び股関節の悪化で年初の全豪を休んだマレーですが、再復帰に向けてトレーニングを行っているようです。あの憎らしいほど粘り強く、感情あらわに戦うマレーの姿を観たいと思う人は少なくないはずです。

BIG3、そして台頭しつつある若手の障壁となる選手として、もう一度輝いてほしい。マレーがテニスを必要とするように、テニス界もマレーを必要としている!

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そんな気持ちにさせられるドキュメンタリーでした。おすすめです!

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